なぜABEMAが「日本選手の育成」を目指すのか？

　さらにABEMAは、選手育成にも関わっていく。すでに若手有望選手をサポートし、海外のジムで練習させる企画が話題になっている。

「選手が日本だけでなく海外で試合をする時代がすでに来ている。その中で感じるのは、各国の団体から放送権を買って中継するというだけではいけないなと。日本のファンに見てもらうのなら、日本の選手に活躍してほしい。そのためには世界と闘える選手を育成しなければいけない。選手単位、ジム単位で世界の壁を打ち破るのは難しい。我々プラットフォームも一体になって、オールジャパンで挑まなければ」

　選手育成、無料中継、付随する選手インタビューやYouTubeでの企画。そうした取り組み全体の頂点として“1億円ファイター”武尊がいるというわけだ。

「ABEMA格闘チャンネル全体の活動の中で言えば、1億円というのはごく一部。他にたくさんお金をかけた中で出てきたものなんです（笑）」

武尊も「これからは格闘技日本代表」

　今回はISKAのタイトルを狙う武尊だが、このベルトがほしくて復帰したわけではない。「今回、勝てなければ次はない」という考えはこれまで通りだが、ファンが期待しているムエタイの強豪ロッタン・ジットムアンノン戦を見据えているのも間違いない。それが実現した時こそ、1億円の意味もさらに出てくるのではないか。

　復帰戦の発表では白いスーツに赤のネクタイという姿だった武尊。日本代表を意識しての「日の丸カラー」だという。「これまではK-1代表という気持ちでしたけど、これからは格闘技日本代表」というコメントも印象に残った。

　そんな“対世界”の闘いに日本代表として他の選手も加わってほしいと武尊は言う。K-1でいえば野杁正明やKANA。ムエタイで活躍する吉成名高の名前も挙げていた。

　高額の報酬が格闘技界全体の底上げにつながるし、武尊自身も“日本格闘技界”を強く意識している。世界を舞台に勝つスター選手、武尊に続く選手がどれだけ出てくるか。そこに“1億円”の真の価値があるのだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。