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「裸足のほうが速かったんです（笑）」100m新ヒロイン・兒玉芽生が明かす“日本最速の方程式”「レース中も色々と考えてしまって…」
posted2023/02/23 11:02
女子短距離100m、200mの日本記録更新も期待される23歳の兒玉芽生。本人に話を聞くと意外な走りの特徴とリラックス方法を教えてくれた
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by
Asami Enomoto
女子100mで日本歴代2位となる11秒24をマークした兒玉芽生（23歳）。日本女子短距離のレジェンド・福島千里の日本記録に0.03秒まで肉薄した強さの背景には、研究熱心な姿勢と裸足でのトレーニングがある。
独特な“裸足練”の背景には「スパイクより裸足で走った方が速かった」との逸話がある。兒玉はその計測結果の中に、自身がさらに速くなるヒントを見出した。
兒玉が裸足でのトレーニングで掴んだもの、100mを走る中で考えていること、そして自身が思い描く“100mの理想形”について聞いた。（全4回の3回目／#4へ）
独特な“裸足練”の背景には「スパイクより裸足で走った方が速かった」との逸話がある。兒玉はその計測結果の中に、自身がさらに速くなるヒントを見出した。
兒玉が裸足でのトレーニングで掴んだもの、100mを走る中で考えていること、そして自身が思い描く“100mの理想形”について聞いた。（全4回の3回目／#4へ）
裸足で走ることに全く抵抗がないんです
「幼稚園の運動会で、裸足だったんですよ。なので裸足で走ることに全く抵抗がないんです」
幼少期の思い出を振り返って笑う兒玉。裸足のトレーニングが生まれたきっかけは、福岡大の先輩の卒業論文だった。
兒玉が大学1年の冬、指導を仰ぐ信岡沙希重コーチのゼミ生が「スパイク走と裸足走の比較」のテーマのもと、陸上部の選手たちを被験者として、ピッチやストライドなどのデータを収集した。そこで予想外の結果が。兒玉は裸足で走った方が、スパイク着用時より秒速で0.5mほど速かったのだ。また、ピッチとストライド、接地時間と滞空時間などの関係も理想形だったという。
普通、スパイクで走る方が速いに決まってるじゃないですか？
「ただただ驚きでしたね。他にも何人か裸足の方が速い選手はいましたが、私だけその差が圧倒的だったんです。普通に考えたら、スパイクで走る方が速いに決まってるじゃないですか？ 恐らくですが、スパイクの機能を上手く使えていなかったからだと思います」
一般的に短距離用のスパイクは、靴底に反発性のあるプレートと、地面をキャッチするグリップ性の高いスパイクピンが搭載されている。兒玉は足底の前面でしっかり乗り込む接地ができていなかったことで、ピンが付いている部分を上手く生かしきれていなかったのでは――と分析する。
「裸足が速い」にはどんな意味がある？ コーチに聞くと…
スパイク着用時より裸足の方が速い選手はどんな選手と言えるのか。信岡は「この研究の被験者たちの話ではありますが」と断りを入れた上で、このように付け加えてくれた。
