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不破聖衣来が「不安もストレスもなく練習できるように」拓大・五十嵐監督の苦悩「聖衣来からはそんなにイライラする必要ないって…」
text by
藤井みさMisa Fujii
photograph byAsami Enomoto
posted2023/02/14 11:29
昨年は怪我の影響もあり思うように走れなかった不破聖衣来。今年8月の世界陸上に照準を合わせて準備しているという
「こちらはしっかりと考えながら、時にはいろいろなことを犠牲にしてやっているのに、簡単に『ケガさせた』とか『レースに出ないからだめだ』みたいなことを言われるのは、勝手なこと言わないでくれよって思いますよね」
大きな才能と二人三脚でやっているからこその苦悩だろう。不破が欠場した12月の富士山女子駅伝のあと、五十嵐監督は部の公式Twitterにこう投稿した。
<色々なご意見はあると思いますが、監督はじめ選手一同は自分達の信念を曲げる事なくチーム、そして個人の成長の為に努力して行きます>
だが、渦中の本人は監督より冷静なのだという。
「聖衣来は周りの声を全然気にしないんです。何か言われて彼女の競技生活に対してマイナスになるということはないので、それは彼女の強さでもあると思うんですよね」
真実とは異なることを書かれ、五十嵐監督が不満を漏らした時も、「聖衣来には『そんなにイライラする必要ないじゃないですか』って言われたりするんです」と苦笑する。
不破には「今季はもう試合に出ないよ」と…
全日本大学女子駅伝のあと、五十嵐監督は不破に「今季はもう試合に出ないよ」と告げた。
「周りの声を気にはしませんが、本人が『思い通り走れない』とか『走らなきゃ』っていう不安がやっぱりあったんですよね。試合が近づいてくるとより『こうしなきゃいけない』と思うじゃないですか。だから富士山女子駅伝も出ない、10000m(12月10日のエディオンディスタンスチャレンジ)も早い段階で目指さない、1回リセットして、春までゆっくりやっていこうと言ったんです」
試合がないということは、ベストパフォーマンスをしなくてもいいということ。不破の中で不安や気負いがなくなったのか、「そこから動きとかもぱっと変わった」と五十嵐監督は言う。
不破からは「私が(駅伝に)出なかったら監督が何か言われるんじゃないですか」と言われたというがが、「言う人はどんなことがあっても、なにか文句を言うから気にしないよ」と軽く返した。