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「もうプロレスを続ける資格が…」スターダム・上谷沙弥が苦悩の先に見つけた“答え”「飛べる今のうちに飛びたいんです」《特別グラビア》 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2023/02/02 17:00

「もうプロレスを続ける資格が…」スターダム・上谷沙弥が苦悩の先に見つけた“答え”「飛べる今のうちに飛びたいんです」《特別グラビア》<Number Web> photograph by Essei Hara

白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)を13度防衛している上谷沙弥。防衛記録の更新をかけて、2月4日に大阪で渡辺桃と対戦する

 急遽その試合の相手になったひめかは、スターダムの“黄金世代”のライバルだ。172センチの恵まれた体格を持つひめかだが、プロレスラーとして壁にぶつかっている部分もあった。上谷は、そんなひめかのポテンシャルを引っ張り出したうえで勝利した。この日の戦いでは、「互いが限界の先の先まで感じることができた」という。

「もうプロレスを続ける資格がないんじゃないか…」

 頓挫したKAIRI戦は11月19日の大阪大会にリスケジュールされたが、上谷はその前に白川未奈と戦うことが決まっていた。

 しかし、11月3日に広島で行われた白川との防衛戦でアクシデントが発生してしまう。フェニックス・スプラッシュにいった上谷の足が、白川の顔面を直撃してしまったのだ。白川は顎と口腔部を負傷。歯が折れて流血する姿に、勝利した上谷もショックを隠すことができなかった。

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 試合直後は、QQのメンバーが上谷に寄り添って励ました。その後、なんとかコメントを出した上谷だったが、「いろいろ言われているんだろうな……」とLINEやSNSも一切シャットアウト。ホテルの部屋に戻って、ひとり涙を流した。

「ライトもつけずに、暗闇の中で号泣していました」

 上谷はしばらく心の整理がつかず、どん底まで落ち込んだ。だが、2週間後にはKAIRI戦が決まっていた。

「もうプロレスを続ける資格がないんじゃないかなって……。でも、目の前には大切な白いベルトもある。今まで挑戦してきた選手の想いも背負っている。そして白川未奈の気持ちも。前を向く以外、選択肢はない。今自分にできることをやるしかない。応援してくれるファンの皆さんを信じて、自分自身を奮い立たせました」

 上谷はその時を思い出すように語った。

「怪我をした白川未奈の方が大変なのに、前向きな力強い言葉をファンの皆さんに投げかけていた。彼女は真の強さを持っている。本当に心からプロレスを愛してるんだなと思いました」

 さまざまな思いを抱えた上谷は、感情のままKAIRIに立ち向かった。試合は引き分けだったが、白いベルトの王者としてしっかりと挑戦者と向き合えたという自負がある。

「世界のKAIRIと30分ドローというのは自分の中で大きな財産になりました。ベルトはそれぞれ色が違うので、どれが一番かは見ているお客さんが決めること。私は白いベルトが一番輝いていると思っています。白の王者として、もっと色々な選手と闘いたいし、プロレス大賞も取りたい。野望が沢山ある。4月の横浜アリーナでは、白でメインを張りたいです」

【次ページ】 「滞在5分で2万円」“白の王者”の失敗談とは?

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