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「ショウヘイから学びたい」WBC日本代表ラーズ・ヌートバー(25歳)ってどんな選手? アメリカで本人を直撃して聞いた話「今は『君が代』を特訓中」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2023/01/25 17:01
WBC日本代表に選出されたカージナルスのラーズ・ヌートバー
そして、続けた。
「日本へ行ったら、日本の文化へ敬意を払いたい。できる限りの敬意を払い、悪い印象は残したくない。初めて米国で生まれた選手として選ばれたからには、そんな災難は避けなければいけない」
侍ジャパンに初めて選ばれた日系米国人としての決意と覚悟。先駆者となるその責任をはっきりと口にした姿に大きな期待を抱いた。
ヌートバーの決意「侍ジャパンが僕を受け入れてくれるなら…」
1月15日。セントルイスで行われたファン感謝デーで初めて彼を取材した。地元記者からレギュラー外野手として期待されている事実を振られると彼は謙虚な言葉を並べた。自己アピールが上手な米国人らしからぬ受け答えにも日本人らしさを感じた。
「その期待はまだ早いんじゃないかな。僕はまだパフォーマンスを見せ続けなければならない選手だ。本当にいい野球選手になりたいし、ラインナップを助ける存在になりたいし、他の選手のプレッシャーを減らすことのできる選手になりたい。みんなの期待は僕が思っていることよりもちょっと高いような気がする。でも約束するよ。出来る限りのことを尽くす」
自己アピールが上手で前へ前へと出る。米国人にはそんなイメージがある。だが彼はレギュラーを期待されているのに、時期尚早だという。
確かに彼の実績を見れば、昨季は108試合で290打数66安打、14本塁打、40打点、盗塁4、打率.228。正直な気持ちを語ったに過ぎないかもしれないが、謙虚な姿勢に彼の人柄を感じずにはいられなかった。
「僕は自分のことをまだゼロ・ツール・プレーヤーだと思っている。自分は特別な存在ではない。ただ一生懸命プレーし、最高のプレーヤーになりたいと思っている。侍ジャパンがそんな僕を受け入れてくれるなら嬉しい。もちろん、いいディフェンスを見せ、打席でも粘るつもりだ。僕は大谷翔平やマイク・トラウトのように突出しているわけではない。僕ができることは、フィールド上で一生懸命にプレーし、全力を尽くすだけ。それだけだ」