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久保建英「脱臼ケガ明け緊急出場」を撮った…W杯へ頼もしい攻撃力と“激論”、気になるのは“ほぼ90分プレー時の疲労感”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/11/13 17:02
W杯前最後となる「ラ・レアル」でのプレーで躍動した久保建英
ゲーム再開直後の36分、ブライス・メンデスが追加点を奪い、ソシエダが勝利を決定付けたように思えた。サイドにポジションを移した久保も積極的にサイドで仕掛けクロスを送り、またボックス内まで切れ込んでチャンスを創出した。しかし中で合わせたシルバ、セルロートが決めきれずにいると、前半終了間際、セビージャFWラファ・ミルが1点を返して前半を終えた。
密集するゾーンに潜り込みシュートを放つシーンも
前半序盤に緊急出場となった久保は、頭部にボールが当たって倒れこむシーンや、肩を若干気にするそぶりも見せていたが、後半も引き続き出場した。
試合展開を振り返ると――自分たちのサッカーを捨て、守らざるを得なくなったセビージャと、数的優位の中でリードするソシエダがリスクを極端に避ける展開が続き、膠着状態に入った。
久保はセビージャの選手が密集するゾーンに潜り込みシュートを放つシーンも見られた。終盤になると、逆境の中でも鼓舞し続けるファンに後押しされたセビージャが、最後の猛攻に出る。
ゴール裏に掲げられているイムノのからの一節、〈Dicen que nunca se rinde=「決して諦めない」〉そして続く〈死ぬまでセビジスタであり続けよう〉という応援歌通りの姿勢を見せるファン、そして2人少ない状況で最後まで戦い続ける選手の姿に心打たれる。
ソシエダとしてはヒヤリとするシーンも何度か作られたが、なんとか最小得点差のままゲームを終わらせることに成功。連敗をストップし、アトレティコ、ベティスの敗戦もありCL出場圏内3位に順位を上げた。
怪我のブランクか、終盤の久保からは疲労感を感じた
試合終了直後、久保は一息つく間も無く、ズベルディア、レ・ノルマン、メリノらと激しく論を交わす姿が印象的だった。W杯までにソシエダは国王杯を戦うが、久保はその試合を免除され日本代表に合流する。
脱臼した肩が完治するには至っていないこと、また怪我によるブランクか、途中出場ながらアディショナルタイムまで加えると、ほぼ90分を戦った久保からは、試合終盤にはかなりの疲労も感じた。
W杯初戦に万全の状態で臨めることを期待する。
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