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“高梨さん”からメールで届いた1枚の写真…「26歳高梨沙羅が高梨沙羅を撮った」カメラマンデビューのセルフィー(自撮り)に驚いた
posted2022/11/12 11:04
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Asami Enomoto
「彼女は写真が趣味なんですよね。だったら高梨さんにミラーセルフィー(鏡越しの自撮り)を撮ってもらったら面白いんじゃないかな」
高梨沙羅が高梨沙羅を撮る。
Number1062号で実現した高梨のカメラマンデビュー。そのきっかけはNumberのデザインを担当するアートディレクターの発案だった。
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今回の取材はスーツの違反問題に揺れた北京五輪後、初めてまとまった時間を取ってもらってのインタビューだった。だからこそ、4年後のミラノ・コルティナ五輪に向けた思いなどは今回は二の次。まずは北京のあの時に何を感じ、何を考えて、“現在”に辿り着いたのかが主なテーマだった。テキストも彼女のモノローグを中心とした内省的なものになるはず。だったら、よりパーソナルな感じの出るセルフィーは、誌面を作る上で最もふさわしい写真に思えた。
高梨がカメラに興味を持ち始めたのは約3年前のことだという。ふらりと入った街のカメラ屋で出会ったのが中古のFUJIFILM GW690Ⅱ。1985年に発売され、いまだに人気の高い中判フィルムのレンジファインダーカメラに一目惚れして即購入。遠征の相棒として連れて行くようになった。
CONTAX T3、Canon EOS 6D Mark II、トイカメラのDiana miniまで愛機は次第に増えていったが、どちらかといえばフィルムが好みだという。
「日本に戻ってから現像することが多いので、海外で思い出を貯めていってる感覚です。自分へのお土産みたいなもの」と現像するまでの時間も愉しんでいる。
写真雑誌GENICの取材でも「自分にとって、写真とは?」と聞かれて、「残しておきたい気持ちや風景。後から見返したときに、リアルにそのときの気持ちを思い返せる一枚を撮れたときに、喜びを感じます」と答えている。
スマホ1つあれば簡単に誰でも自分の姿を写真に収めることができる時代。ただ、彼女がファインダー越しに見つめる今の自分自身、「残しておきたい」自分自身はどのような姿なのか。のべつまくなしにシャッターを切るのではなく、その瞬間を大事に考えている彼女だからこそ、撮影を頼む意味があった。
“高梨さん”からメールで届いた1枚の写真
インタビュー当日、彼女はフルサイズミラーレス一眼のSIGMA fpを持参してきた。現像するまでどんな絵が撮れたか分からないフィルムカメラより今回の撮影にはデジタルの方が適任だという判断だろう。