『咲-Saki-』のオーディションで猛烈アピール

――紆余曲折を経て、晴れてプロの声優としてデビューされるわけですが、もうひとつの軸である麻雀とはどういった縁があったのでしょうか。

伊達　初めてオーディションに受かったのが、麻雀を題材にしたアニメ『咲-Saki- 全国編』の上重漫役だったんです。そもそも麻雀に興味を持ったのも高校生のときに見た『咲-Saki-』がきっかけで、作品も麻雀も大好きだし「このオーディションだけは絶対に受かりたい！」と。声優のオーディションって、普通は「81プロデュース、伊達朱里紗です」と挨拶して役のセリフを読んで、という感じなんですけど、このときばかりは「麻雀が大好きです！ 符計算もバッチリできますんで、任しといてください！」みたいな感じで猛烈にアピールしました（笑）。結果的にそれが功を奏して、役をいただけたんじゃないかと思っています。

――麻雀に本格的に没頭していったのはいつごろですか？　今回インタビューをさせていただいている「麻雀オクタゴン」も、伊達プロにとっての思い出の場所だと伺いました。

伊達　ルールをしっかり覚えたのは大学時代ですね。それから日常的に打つようになって、オクタゴンさんも（オーナーで声優の）小山剛志さんが企画してくれる麻雀大会や、友人とのセットで利用させてもらっていました。転機になったのは、『プリパラ』や『ヲタクに恋は難しい』といった作品で主役をやらせていただいた時期です。そのころはお芝居についてダメ出しされることが多くて、それにうまく応えられない自分に悩んでいて……。「声優の仕事は大好きだけど、一生続けていけるのかな」と考え込んでいた現場帰りに、ふとオクタゴンさんが頭をよぎって、「そうだ、麻雀しよう」と。

――声優としてのあり方に悩んでいるときに、麻雀を打つことが救いになった、と。

伊達　それも初めてフリー（仲間内＝セットではなく、他の客やスタッフと卓を囲むこと）で、知らない人たちと麻雀を打つという体験をしたんです。そうしたら待ち席とかでも、みんな延々と麻雀の話をしているわけですよ。あのときの1・4・7索がどうとか、あの5筒切りのリーチは……とか（笑）。それまで友達とのセットしかしていなかった私としては、「こんな世界があるんだ。私は麻雀のことをなにもわかっていなかったんだ」と衝撃を受けました。強い人たちと喋れば喋るほど、それがどんどん面白くなっていって、気づけば毎日のようにオクタゴンさんのフリーに通うようになっていましたね（笑）。

“イロモノ”視への本音「みなさんと変わりません」

――それだけ没頭していれば、競技麻雀の世界でプロを目指すのも自然な流れかもしれませんね。

伊達　勉強を続けるうちに「私、強い人と打つのが好きだな」と思うようになりましたし、プロになればもっと強い人たちと真剣勝負ができるじゃないですか。あと、声優として思い悩んでいた時期でもあったので、自分の人生を充実させて可能性を広げる意味でも、プロになったら面白いんじゃないか、と。いろいろな理由が重なって、プロの試験を受けることを決意しました。

――とはいえ、声優という別業種からのチャレンジということもあり、当初は“イロモノ”的な見方をされることもあったのでは？

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