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女子フィギュア界の新星・渡辺倫果20歳とは何者か? 趣味はダイオウグソクムシ、コーチが明かす強さの秘密「苦労をしてきている子なので」
posted2022/11/02 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
ISUグランプリシリーズ第2戦、オンタリオ州ミシソーガで開催されていたスケートカナダで、20歳の新星、渡辺倫果が初優勝をきめた。
渡辺は9月にチャレンジャーシリーズ、ロンバルディア杯のフリーで3アクセルをきめて、坂本花織のスコアを上回りサプライズ優勝を果たした。その結果を評価され、急遽このスケートカナダへの出場が決まったのである。
だが昨シーズン全日本選手権6位、世界ジュニア選手権10位だった彼女は、これまでシニアでの実績はほとんどなく国際的には無名の選手だったと言って良い。その彼女がチャレンジャーシリーズよりも格上のGPシリーズデビュー戦で、どのような滑りを見せてくれるのか、スケート関係者の注目が集まっていた。
「フリーの朝は緊張で半泣きでした」
SP「ロクサーヌのタンゴ」では、3アクセルに挑むも着氷が乱れて回転不足に。6位という位置からフリーに挑むことになった。
「(フリーの日は)朝の公式練習が終わった後からもう緊張で、軽く外を歩きながらもう半泣き状態だったんですけれど……」と後に告白した渡辺。だが本番ではそんな気配はみじんも見せず、初挑戦とは思えない堂々とした演技を滑り切った。
冒頭の3アクセルがきれいにきまると、会場は大歓声に包まれた。続いて3ループ、3ループ+3トウループ、3フリップと降りていった。和風の襟元をあしらった衣装に身を包み、「仁」のサントラに合わせて落ちついた表情で、スピン、コレオシークエンスを演じる姿は、これがGP初挑戦とは思えない貫禄すら感じさせた。ループコンビネーションは回転不足の判定がつき、最後の3ルッツも着氷が詰まって回転不足になったものの、最後まで全体の流れを途切れさせずに見事な演技だった。