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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ドラフトは「当然、育成指名OKです」「24歳は“プロ入りする限界”かなと」独立L徳島の“隠し玉候補な俊足巧打+明大卒右腕”の本心
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2022/10/17 20:00
独立リーグ徳島の茶野篤政(左)と中山晶量。ドラフト指名を待つ
「高校に入ったとき、すでに183cmくらいありました。甲子園には1年時から3回出場しています。エースは日本ハムに行った河野竜生で、僕は11番をつけて2番手でした。そこから明治大学に進んだのですが、2年時に公式戦で投げさせてもらって、そこから出たり入ったりという感じの4年間でした」
明治大学での公式戦は通算4試合1勝1敗5回2奪三振、自責点0というものだった。
「それでもNPB球団から調査書は4枚もらっていましたが、指名はなかった。ドラフトが始まるときに徳島球団のオーナーの方から声をかけていただきました。それに対しては“もし指名されなければ入りますね”という感じでした」
24歳と言えばプロ入りするには限界かなと
こうして徳島に入団した中山だが、昨年前半は肩痛のため投げることができなかった。昨年成績は14試合1勝1敗2ホールド26.1回22奪三振、防御率4.10だった。
「この冬、体づくりをしている間に自然と痛みが治まって、投げることができるようになったんです。得意なボールは真っすぐで、真っすぐを見せてフォークで三振を取るパターンですね。速球は角度をつけることを意識しています。
去年はフォークはあまり投げなくて、スライダーが多かったんです。でも、今年はいいフォークが投げられるようになった。スライダーも冬場に投げ込んでいるうちに、精度が上がりました。昨年オフは結構走りこんだり、体幹トレーニングもしっかりやりました。下半身がしっかりしてきたので、ブレなくなったのだと思います」
今季の成績は22試合4勝4敗3セーブ7ホールド69.1回67奪三振、防御率2.73。前期は先発だったが、後期は救援で好投した。
「スカウトの方も来られて“しっかり見ているから”と言っていただきました。藤川球児さんを小さな頃から目標にしていますし、身長があるので角度をつけた速球と、落差のある変化球で勝負したいと思っています。ただ完投するスタミナもありますし、先発、救援どちらでもと思っています。
早生まれなので来年2月までは23歳ですが、24歳はプロ入りするには限界の年齢なのかなと思います。明治大学で同級生だった入江大生がDeNAで活躍していますので、育成でもいいからとにかくプロに入って、そこから這い上がってやろうと思っています」
リリーフが手薄な巨人、日本ハム辺りは……
中山から感じられるのは、高校でも大学でも「二番手、三番手だった」という焦燥感だ。同期がNPBのマウンドで活躍する中で、自分もなんとか追いついてやるぞとの覇気を感じる。
この後、四国アイランドリーググランドチャンピオンシップ高知戦のマウンドに上がる中山を見た。大きな体をダイナミックに動かし、打者を圧倒する中山の投球は迫力があった。また速球とスライダー、フォークのコンビネーションも見事だった。
「向こう気の強さ」は、救援投手にはなくてはならないもの。
阪神の湯浅京己、ソフトバンクの藤井皓哉のように独立リーグ上がりで「勝利の方程式」を担う救援投手は増えている。延長12回までになって救援投手の絶対数が必要な昨今、即戦力救援投手として、中山は特に救援陣が手薄な巨人、日本ハムあたりには必要な投手になるのではないか。
<愛媛編につづく>