甲子園の風BACK NUMBER
ヤンチャ集団を“甲子園16強”に育てた「北大津の名将」が現場復帰→就任2年で滋賀制覇「おとなしい子が多い。今はとにかく“褒める”」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2022/10/07 06:24
秋季滋賀大会・準決勝に勝利して初の近畿大会出場を決めた彦根総合高校。勢いそのまま初優勝を果たし、宮崎監督(左から2人目)は安堵の表情を浮かべた
ただ、やはり県内の“盟主”である近江と対戦して、チームの現在地を知りたかったという本音もある。
「そりゃあ、対戦したかったですよ。このチームを成長させるために乗り越えないといけない“壁”と、早めに対戦したかった。もちろん、(決勝で対戦した)瀬田工さんもいいピッチャーがいますので準決勝で勝てたことは大きかったです。厳しい試合をノーエラーで乗り切れたことや、ピッチャーの踏ん張りを見ると、ようやくチームの成長が見えた秋でしたね」
初めて立った県の頂点の景色も格別だった。
「北大津の時はどうしても決勝の壁を破れずにいたんです。破るのに10年以上はかかったかな。この秋、もし決勝で負けていたらまた10年くらいかかってしまうんじゃないかって。だから何としても勝ちたかった。(優勝した瞬間は)嬉しいというよりホッとしました」
新天地で初めて挑む、秋の近畿大会。どんな思いか尋ねると、宮崎監督はニンマリとしながらこう返した。
「選手を信じるしかありません。奇策なんてないですよ」
真っ白なクラシカルなユニホームが躍動した湖国の秋に、滋賀県の新時代の訪れを感じた。
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