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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「スゴすぎる腹筋」と話題になった走幅跳・秦澄美鈴26歳が語る“陸上選手と盗撮被害”「個人がユニフォームを選べるようになればいい」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by本人提供/Takuya Sugiyama
posted2022/10/04 11:06
世界陸上にも出場し、「美しすぎる腹筋」も話題となった秦澄美鈴選手
「選手個人がユニフォームを選べるようになればいい」
秦自身はユニフォームを変えたのち、不快な写真を撮られるケースは大きく減ったという。女性アスリートの盗撮被害を巡っては、「露出の多いユニフォームを変えるべきだ」とその責任を加害者からアスリート側へと転嫁させる主張も目立つ。しかし、セパレートタイプは空気抵抗を抑えやすいなど、いかによいパフォーマンスを出せるかを追求した結果として選択する選手もいる。
秦は「盗撮する人が一番悪いのは前提」としたうえで「選手個人がユニフォームを選べるようになればいい」と語る。
「私はシャツの中に砂が入ると気持ち悪いのでセパレートタイプを選んでいますが、中には嫌なのに着ている選手もいると思うんです。特に高校や大学では学校で決まった形が用意されていることもあります。
自分が着たくないユニフォームを着て盗撮されたら、さらに嫌な気持ちに陥ってしまう。人によって見られたくない部分は違うと思いますし、今は色んな形がありますから、『これなら大丈夫』と自分が納得したユニフォームを選べるようになればいいなと思っています」
アスリートの肉体美は競技への関心を抱く可能性にも
腹筋に注目が集まること自体に不快な思いはしていない。その一方で秦は「試合会場以外で『腹筋を見せて』と言われるのはちょっと……」と違和感を明かす。
「例えばインスタライブ中に『腹筋見せてください』とメッセージを送ってくる人もいますし、外出先で親しくもない人に『腹筋見せてよ』と言われることもありますね。きっぱりと『絶対嫌です!』と返すようにしています」
ファンがモラルを保つのは前提とした上で、性別を問わず、アスリートの鍛え抜かれた肉体美は選手個人や競技に関心を抱く一つのきっかけとなり得る。秦もその可能性を感じている。
「もちろんアスリートとして競技そのものに注目してほしいという気持ちはありますけれど、入り口はどうであれ『秦澄美鈴』という人物を知ってもらえるのは嬉しいですね。結果的に私の腹筋ファンで終わるのか、そこから陸上ファンになってくれるかはわかりませんが『数多くいる陸上選手の中で注目してくれてありがとうございます』と思っています」
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。