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オリンピックPRESSBACK NUMBER
“モデルジャンパー”と注目されて…走幅跳・秦澄美鈴26歳の本音と“アスリートのメイク”への思い「自分の好きな見た目でいるのが健康かな」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/04 11:05
世界陸上にも出場し、「美しすぎる腹筋」も話題となった秦澄美鈴選手
アスリートへのメイク批判を、当事者はどう思うのか?
近年、化粧品メーカーがアスリートをスポンサードするケースが増えるなど、メイクやオシャレを楽しむ女性アスリートは増えている。秦に限らず、日本代表選手が華やかな衣装を身につけ、ファッション誌や美容雑誌に登場する姿も度々見かける。
その一方で、アスリートが外見に気を使うと「競技に集中していない」「メイクをする時間があったら練習しろ」と批判される風潮もある。おそらく、秦に心無い言葉を投げかけた当事者たちも、似たような考えを持っているのだろう。アスリートへのメイク批判についてどう思うか秦に尋ねてみた。
「メイクをする時間があったら練習しろとか、もっと試合のことを考えろという人は、アスリートを、スポーツを分かってないなと思います。いいパフォーマンスって、別にスッピンだから出せるものではないですよね。
だからといって、試合でパフォーマンスを出すためにメイクをしているわけでもありません。今どき中学生でもしていますし、私にとってはメイクってもう日常なので。大きな試合だと『今日は特別な色のアイラインを引こう』とかは思いますが、あくまで自分の気持ちを高めるだけなので、ことさらメイクとパフォーマンスを結びつけるのはちょっと違うのかなと思います」
「自分の好きな見た目でいるのが健康」
普段、競技場で秦を取材していると、華やかに彩られたネイルが目に入る。差し色にグリーンが入っていたり、パールが散りばめられていたり……その時々によって変わるデザインを見るのも一つの楽しみだ。
Instagramでは競技について発信するアカウントとは別に、自身の日常やネイル、ファッションを投稿するアカウントもある。ネガティブな声に惑わされずに、自分が好きな状態でいたい――。そんなしなやかなアスリート像が垣間見える。
「ネイルは試合のための験担ぎというより、自分の気持ちをいい状態に持っていくためですね。デザインを考えている時間も楽しいし、ネイリストさんと話しながら完成に近づいていく工程を見ると気分が上がります。世界選手権はユニフォームとかジャージがオレンジっぽい色だったので、『代表に決まったらオレンジにしよう!』と決めていました(笑)。
髪型やネイルが競技に影響するはずがないので、だったら自分の好きな見た目でいるのが健康かなと。心が健康なほうがパフォーマンスにもつながると思いますし、アスリートという立場に関係なく、自分自身が好きな自分でいたいと思っています」
《つづく》
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