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オリンピックPRESSBACK NUMBER
“モデルジャンパー”と注目されて…走幅跳・秦澄美鈴26歳の本音と“アスリートのメイク”への思い「自分の好きな見た目でいるのが健康かな」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/04 11:05
世界陸上にも出場し、「美しすぎる腹筋」も話題となった秦澄美鈴選手
振り返れば、秦にとって初めて世界を意識したのはこの瞬間だったという。
「1年生で1m82を跳んで、その年の日本選手権の優勝記録を超えたことで、日本のトップレベルに近づいたという感覚があったんです。東京五輪も5年後に控えていましたし、このまま辞めてしまうのはもったいない。大学4年間で世界の舞台を目指したいという気持ちがちょっとずつ大きくなっていきました」
大学3年から走幅跳にも本格的に挑戦し、4年の全日本インカレで優勝。数々の名ジャンパーを育てた太成学院大高・元監督の坂井裕司氏との出会いもあり、卒業後は走幅跳に軸足を移し、わずか2年で日本選手権を制した。
“モデルジャンパー”と呼ばれることへの葛藤
秦の実績と等しく、もしくはそれ以上に注目が寄せられているのは、モデル業に挑戦したアスリートであることだろう。169cmのスラッとした長身やルックスを買われ、シバタ工業が手掛けるレインブーツのイメージモデルに抜擢された。
実は秦がモデルを務めたのはこの一度きり。しかし、多くのメディアでは今も“モデルジャンパー”の肩書きが使われ、世界選手権出場時もモデル経験と絡めた記事が多く配信された。
“モデルジャンパー”という呼び名をどう受け止めているのか。秦は今も抱える葛藤を明かした。
「もちろん注目してもらえるのは嬉しいけれど、“モデルジャンパー”という肩書きだけが独り歩きしていて、色々な捉え方をされているなと思います。私は『会社の製品のモデルをやったことがある選手』という意味で最初に書かれたと理解しているのですが、中には『今もモデル業と二足のわらじを履いている』『容姿がモデルのように見えるから』と思われる方もいるみたいで……。
知らない方からすればいくらでも色んな捉え方ができると思うので、本当に意味を分かった上でその肩書きを使っているのかなと。複雑だなと思うところはありますね」
世界選手権出場で注目度が高まるにつれて、“モデルジャンパー”との肩書きに対する中傷も目につくようになったという。
「やっぱり露出が増えた分、徐々に心無い言葉を言われることも増えました。おそらく今でもモデル活動をしていると捉えている方だと思いますが『中途半端なことをしているから世界陸上で結果が出せないんだ』とか『○○選手を見習ってもっとストイックになってよ』とか。気にしていないつもりでも、こんな風に思われてるんやと感じることはあります」