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競馬PRESSBACK NUMBER
「一応登録しとくか」から「行くなら直行だ」 タイトルホルダー栗田師が明かす凱旋門賞挑戦の舞台裏「簡単に勝てる舞台とは思っていない。ただ…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byTakashi Shimizu
posted2022/10/02 11:02
厩舎初の海外遠征となる栗田徹調教師。凱旋門賞出走までの経緯と勝算を聞くと…
栗田 すごい喜んでくれて、「国内の3つのGIを制したというのもすごいことだから、自信持っていけよ」と。普段から「こうしたほうがいい」とかは言ったりしないんです。ただ、僕自身あまりテンションが変わらず、浮き沈みがないタイプなので、「もっと自信持っていいんだよ」と。背中を押してくれて、心強いですし、ありがたいですね。
――山田オーナーからは何か言われましたか?
栗田 招待レースではないので、金銭的な負担も大きいとは思うのですが、「準備はしっかり、これ以上ないくらい準備してほしい。馬のためならなんでもしてくれ」と言っていただきました。海外遠征に行けるのが初めてですし、8月の上旬に4日間、パリへ視察に行きました。
――初めて見たロンシャン競馬場はどんな印象でしたか?
栗田 お客さんがいない状態なので、最初の印象はこれがテレビで見たロンシャンか、と一瞬ファンのような気持ちになりました。パドックも「観客との距離が近いな」とか、馬場を歩いて「そこまで悪くなるかな」とか、いろんなことを考えたりして。4日間で受け入れ厩舎(フランスで開業している小林智厩舎)を決めたり、厩舎から競馬場、厩舎から調教コースへの動線を見たりして、スケジュールなど考え……と、良い視察になったと思います。
どれくらいまで他の馬に詰め寄られるかな
――ヨーロッパの馬場への適性はどう見ていますか?
栗田 (適性が)ないと思って連れて行くわけではないので。血統背景だったり、脚質だったり、走りだったりを見て、どれくらいまで他の馬に詰め寄られるかなと考えました。過去にはディープインパクト、オルフェーブルなど錚々たる名馬が挑戦して、なかなか手が届かなかった舞台ですから、そう簡単に勝てるとは思っていません。ただレースにいかないと、チャンスもつかめない。総合的に判断して、「凱旋門賞に挑戦してみたい」。そういう気持ちが自分の中にあり、出走を決めました。
――ファンへのメッセージと意気込みを最後にお願いします。
栗田 タイトルホルダーは本当にファンの多い馬で、ありがたいことに手紙やプレゼントなども厩舎宛にいただくことが多いです。そういった気持ちも受け止めています。レースを楽しみにしている声も頂きますし、この馬とともに凱旋門賞の舞台に立って、いい成績を残すことができるよう頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。自分としては凱旋門賞だから特別何かをしようという気持ちは正直なくて、日本で大きなレースに向かう姿勢と同じなんですよね。タイトルホルダーをいつもの精神状態、雰囲気でレースに送り出してあげたい、その一心です。