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大谷翔平の新球「えげつないツーシーム」をなぜバッターは打てないのか? 対戦選手、分析家もうなった“魔球に隠された秘密”とは

posted2022/09/06 17:01

 
大谷翔平の新球「えげつないツーシーム」をなぜバッターは打てないのか? 対戦選手、分析家もうなった“魔球に隠された秘密”とは<Number Web> photograph by Getty Images

9月3日のアストロズ戦では、ツーシームを軸に見事な投球を見せた大谷。“その先”のピッチングも見据えていた

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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「HEAT WARNING」

 9月3日、本拠地アナハイムには熱中症警報が出されていた。気温は34度。大谷翔平は酷暑の中、ア・リーグ最高勝率をマークし地区首位を独走するアストロズ相手に8回を1失点。今季最多の111球の熱投を見せた。試合後は涼しい顔だった。

「良い打線。ひとりひとり切っていくだけ。長い回を投げられればいいと思っていた。結果的にそうなって良かった」

投球のカギを握ったツーシーム「えげつない」

 最も多かったのはスライダーの59球。全投球の53%を占めたが2番目はツーシームだった。今季最多の18球。割合は16%に達し直球の16球を上回った。しかもこの試合最速の100.6マイル(約162キロ)もツーシームで計測。日米のメディアはこぞって“ツーシーマー・大谷”にフォーカスした。

 確かに、その動き、制球、球速ともに抜群だった。米通算401奪三振目となった3回のマコーミックへの決め球は99.7マイル(約160.4キロ)。外角のボールゾーンから大きく横滑りし、沈み込んだ。いわゆる「バックドア・ツーシーム」。右打者7人が並ぶ中、大谷はインサイドへも効果的に配した。

 データサイト「ベースボール・サバント」は細かく魔球の動きを伝えた。横への変化量は最大で17インチ(約43.2センチ)、縦変化はそれを上回る28インチ(約71.1センチ)。横幅、奥行きともに43.2センチのホームプレート上を160キロで動き回る暴れ馬。見逃し三振のマコーミックはお手上げの表情を浮かべていた。

 投球分析家としてメジャーリーガーとの交流も深いピッチング・ニンジャことロブ・フリードマン氏もすぐさま反応した。マコーミックへの投球動画に青ざめた表情の絵文字を添え自身のツイッターで驚愕の1球を表現した。

「Wicked 100mph Sinker」(えげつないシンカー)

【次ページ】 大谷はツーシームへの質問に“けげんな表情”で…

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