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「白いベルトが泣いてるよ」KAIRI不在のリングで上谷沙弥は批判にどう答えた? ひめかとのV9戦で示した“現在のスターダム”の価値
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/08/26 17:01
8月21日のスターダム名古屋大会でひめかを破り、9度目の白いベルト防衛に成功した上谷沙弥(左)。試合後には爽やかに健闘を称え合った
「黄金世代として、上へ」「負けたけど、清々しい」
握手、そして力比べから始まった試合は、千載一遇のチャンスに燃えるひめかのパワーが炸裂することになった。
ショルダータックルで勢いに乗ったひめかは、場外戦で一気に主導権を握ることに成功。途中、エルボーで意地を張り合ってダブルダウン状態になってからも勢いは衰えず、上谷が反撃に出ても多様なラリアットとパワーボムで主導権を取り戻してみせた。
王者の好きにさせず、とことん追い詰めるその戦いぶりに、これはベルトが移動するのではないか、という予感が会場に充満したが、最後はランニングパワーボムをなんとかキックアウトした上谷が、担ぎ上げられたところでフブキラナ(リバースウラカン・ラナ)で丸め込み3カウントを奪取。9度目の防衛に成功した。
試合を終えた両者は、再び握手を交わすと座礼。真正面からのぶつかり合いができた清々しさが、そこにはあった。
「黄金世代として、こうやって上へ上へ。上のレベルで試合ができること、本当にとても素敵なことなんじゃないかなって思います」と上谷が言えば、ひめかは「久々に、すごく……。負けたけど、清々しい。なんか、ワクワクした気持ちで今いるよ」と言う。試合後のコメントは、高め合いながら更に上のステージへと進んで行くライバル同士のそれだった。
KAIRIの厳しい指摘と、上谷沙弥が出した答え
しかしこのタイトルマッチは、単なる「黄金世代による高め合い」ではなかった。
7月30日、KAIRIは挑戦表明の際に上谷に「白いベルトが泣いてるよ」と発言。自分は「今ここにいるパートナー、そして対戦相手に“点”で、全力で集中してる」と言い、他の選手との防衛戦の前にKAIRIの名を挙げて先走った王者に「対戦相手と心から向き合ってない」と指摘した。