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「真っ暗なリビングで膝を…」家族だけが知る、男子バレー清水邦広“命を削るような壮絶な時間”「夫は最後の一日まで、ずっと準備し続けていました」

posted2026/07/17 11:07

 
「真っ暗なリビングで膝を…」家族だけが知る、男子バレー清水邦広“命を削るような壮絶な時間”「夫は最後の一日まで、ずっと準備し続けていました」<Number Web> photograph by OSAKA BLUTEON

引退セレモニーでは妻・七菜さんと娘、息子も駆けつけた

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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OSAKA BLUTEON

長らく男子バレー界を牽引し、酸いも甘いも味わってきた清水邦広(39歳)。大学生で日本代表に抜擢されながら、「暗黒時代」と揶揄された低迷期を支えてきた。膝の大ケガにも泣かされながら、それでも第一線であり続けた清水を慕う選手は多い。愛された男のバレーボール人生を、いちばん近くで見守ってきた「ふたり」の証言で振り返る。〈NumberWebインタビュー全3回の最終回〉

 アスリートにとって不可欠な睡眠時間を削らなければならないほど、現役生活を続ける清水邦広の膝は、ギリギリの状態だった。

 2022年に清水と結婚した妻・七菜さんは、夜中に真っ暗なリビングで膝をさする夫の姿を何度も見てきた。

「私や世間の人たちが思う何十倍、膝は痛かったと思います。膝の中に細かい骨が浮遊していて、それが別の骨の間にはまるとめちゃくちゃ痛いし、すぐに手術をしなきゃいけない。本人は敏感なので、少しの違和感があるだけでも、夜中に起きて治療器をあてたり、ストレッチをしたり、曲げ伸ばしをしたりして、膝の状態をチェックしているんです。心配しすぎてもよくないと思ったので、私はトイレに行くふりをして様子を見てました。『膝痛いの? 大丈夫?』と声をかけても、彼は『大丈夫』しか言わないから、私がそれ以上できることはない。現役の間はずっとそんな毎日を過ごしていた。あまり寝ていなかったと思います」

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 ケガを負う前の状態には戻れない。それはわかっていても、いかに痛みを軽減させ、現役を長く続けられるか。清水はバレーボール選手でいることにこだわった。ただ、七菜さんからすれば、別の葛藤も伴う。

「極端なことを言えば、彼はバレーボールをするために命を削ってもいいと思っていたかもしれないけれど、家族としては、バレーボールをやめることになったとしても長生きしてほしいじゃないですか。実際に『もう薬を飲むのやめたら?』と言ったこともあります。でも彼は『今はこれ(薬を飲む)しかできないから』と。お願いして人間ドックを受けてもらうようにしたのですが、薬の影響で腎臓や胃の数値はあまりよくない。でも、私がいくら嫌でも夫は絶対に曲げなかったので、せめて食事で改善しようと私自身の思考を変えました。現役生活の最後の一日まで、どれだけ膝の状態が悪くても、いつ出番が訪れてもいいように、夫はずっと準備し続けていました」

 そんな日々も、ついに終わりを迎えた。七菜さんは、その予兆を少し前から感じ取っていた。

【次ページ】 「今年は手術、しないから」

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