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「真っ暗なリビングで膝を…」家族だけが知る、男子バレー清水邦広“命を削るような壮絶な時間”「夫は最後の一日まで、ずっと準備し続けていました」
posted2026/07/17 11:07
引退セレモニーでは妻・七菜さんと娘、息子も駆けつけた
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
OSAKA BLUTEON
アスリートにとって不可欠な睡眠時間を削らなければならないほど、現役生活を続ける清水邦広の膝は、ギリギリの状態だった。
2022年に清水と結婚した妻・七菜さんは、夜中に真っ暗なリビングで膝をさする夫の姿を何度も見てきた。
「私や世間の人たちが思う何十倍、膝は痛かったと思います。膝の中に細かい骨が浮遊していて、それが別の骨の間にはまるとめちゃくちゃ痛いし、すぐに手術をしなきゃいけない。本人は敏感なので、少しの違和感があるだけでも、夜中に起きて治療器をあてたり、ストレッチをしたり、曲げ伸ばしをしたりして、膝の状態をチェックしているんです。心配しすぎてもよくないと思ったので、私はトイレに行くふりをして様子を見てました。『膝痛いの? 大丈夫?』と声をかけても、彼は『大丈夫』しか言わないから、私がそれ以上できることはない。現役の間はずっとそんな毎日を過ごしていた。あまり寝ていなかったと思います」
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ケガを負う前の状態には戻れない。それはわかっていても、いかに痛みを軽減させ、現役を長く続けられるか。清水はバレーボール選手でいることにこだわった。ただ、七菜さんからすれば、別の葛藤も伴う。
「極端なことを言えば、彼はバレーボールをするために命を削ってもいいと思っていたかもしれないけれど、家族としては、バレーボールをやめることになったとしても長生きしてほしいじゃないですか。実際に『もう薬を飲むのやめたら?』と言ったこともあります。でも彼は『今はこれ(薬を飲む)しかできないから』と。お願いして人間ドックを受けてもらうようにしたのですが、薬の影響で腎臓や胃の数値はあまりよくない。でも、私がいくら嫌でも夫は絶対に曲げなかったので、せめて食事で改善しようと私自身の思考を変えました。現役生活の最後の一日まで、どれだけ膝の状態が悪くても、いつ出番が訪れてもいいように、夫はずっと準備し続けていました」
そんな日々も、ついに終わりを迎えた。七菜さんは、その予兆を少し前から感じ取っていた。

