甲子園の風BACK NUMBER
「なんで気づいたんですか」巨人スカウトを驚愕させた“坂本勇人の情報”、後悔する菊池雄星への発言…NHK甲子園・人気解説者が語る“忘れられない試合”
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/08/15 17:01
NHK甲子園・人気解説者が語る「忘れられない試合」とは(写真は2009年花巻東)
「関西との試合でも、ステップワークがものすごく良かった。ダブルプレーでセカンドベースを踏んでファーストに投げた後、一、二塁間の真ん中ぐらいまで行くんですよ。躍動感があった。守備でも高校球界ナンバー1じゃないかと。坂本の凄さに関しては、偶然気付きました。実際には見落としているほうが多いんですけどね(笑)」
家業は“タクシー会社”…NHK解説が話題に
杉本氏は、米子東で1983年夏に「3番・捕手」として甲子園出場。1997年3月から母校の監督を務めた。家業のタクシー会社との兼務という事情もあり、2年で退任。その矢先、NHK鳥取放送局から県大会の解説を要請された。結果論ではなく、事前に注意点を指摘する話しぶりが評判を呼び、2002年のセンバツでゲスト解説を務め、2006年からレギュラーに昇格した。
「甲子園は選手にとっての晴れ舞台ですし、今後生きていく上で励みになる。中継を録画して、生涯何度も見るはずなので、大前提として褒めます。たとえば、ピッチャーが2ストライクに追い込んでから1球外した時、『3球勝負した方がいいですね』と言っても、『速いストレートを持っているので』と必ずフォローを入れます」
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何もかもを肯定したら解説にならないが、自らの意見を提示した上で、選手の良い部分にも言及する。もう1つ、杉本氏には高校野球解説者としての信条がある。
「甲子園では大差になる試合もあります。時折、途中であきらめる選手もいるし、気の抜けたプレーが出る時もあります。ただ、やる気なく出場したチームは1つもない。だから、過程を大切にしてあげたい。フォアボールで崩れたピッチャーがいたら、『地方大会では1試合1、2個しか出さないんですけどね』と話します。NHKで長年実況をされた小野塚康之アナウンサーとそう誓いました」