- #1
- #2
Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
「最初聞いたときは、ちんぷんかんぷんで…」イチロー指導の智辯和歌山が実現した”奇跡の走塁”《甲子園優勝校の特別秘話》
posted2022/08/12 17:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Naoya Sanuki
昨夏の甲子園を制覇した智辯和歌山とイチローが紡いだ物語、まずは登場人物を覚えてほしい。智辯和歌山の選手は3人――どこまでも生真面目な主将、1番センターの宮坂厚希。チームきっての元気印、2番セカンド、左打ちの大仲勝海。9番ショート、俊足好打に堅守が加わる大西拓磨。この3人がそれぞれの役を完璧に演じたからこそ、あの“幻のプレー”は生まれた。
2020年の冬に遡る。
イチローを取り囲む智辯和歌山の選手たちは戸惑っていた。頷くもの、目が泳ぐもの、まったく表情が変わらないもの――。
「最初にこの話を聞いたときはちんぷんかんぷんで、頭の中がはてなマークだらけでした。でもよくよく説明を聞いて考えてみたら、ああ、なるほど、確かにそうだなと思って、すぐにチームとして練習してみようということになりました」(主将の宮坂)