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「自分の中に燃料は十分残っている」F1参戦16年目で“300戦クラブ”入りした、ハミルトンが挑む不吉なジンクスとは

posted2022/07/29 11:00

 
「自分の中に燃料は十分残っている」F1参戦16年目で“300戦クラブ”入りした、ハミルトンが挑む不吉なジンクスとは<Number Web> photograph by Getty Images

記念すべき300戦目のレースとなったフランスGPで、ハミルトンは今季最高位となる2位表彰台に上った

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 第12戦フランスGPで、F1史上最多タイとなる7度のチャンピオンに輝いているルイス・ハミルトンが、通算300回目のレースを戦った。F1の長い歴史の中でも、300戦以上レースしたドライバーはハミルトンを含めても、わずか6人しかいない。

 最初に達成したのは、ルーベンス・バリチェロだった。F1史上初の300戦という記録を達成したのは、2010年のベルギーGP。舞台となったスパ・フランコルシャンは、バリチェロにとって94年に初めてポールポジションを獲得した思い出の地だった。

 バリチェロのモチベーションとなったのが、子供たちからの「お父さんにレースを続けてほしい」という応援だった。当時、バリチェロはこう語っていた。

「F1にデビューした93年から5年間ぐらいは、シーズンオフにブラジルに帰ると、いつも休みが十分じゃないと感じていたものだった。でも、いまは違う。1週間レースしないと、すぐにマシンに乗ってサーキットを走りたいと思うんだ」

 バリチェロはキャリア6チーム目となるウイリアムズで300戦を達成し、その記録を322戦まで伸ばして11年限りでF1を引退した。

シューマッハの記録を彩ったスパ・フランコルシャン

 そのスパ・フランコルシャンで2年後の12年に史上2人目の大台を達成したのが、初の7冠王者となったミハエル・シューマッハだった。シューマッハにとっても、ベルギーGPはF1デビューを果たした忘れられない地だった。

「不思議なことに、特別な瞬間が訪れたり、記念すべき出来事が起こったりしたのはいつもスパだった。F1デビュー、初勝利、そして記念すべき300戦目もスパとなった。何か運命を感じる」

 しかし、このレースから約1カ月後、シューマッハは引退を決意。日本GPが行われた鈴鹿で現役引退を発表し、記録は306戦で途絶えた。

 3人目の300戦達成者は、ジェンソン・バトンだった。16年のマレーシアGPで記録を達成したバトンは、「04年にF1で初めて表彰台に上がった思い出の地で記録を達成できて本当に幸せだ」と喜んだが、すでにこのシーズン中に第一線から退くことを発表していた。翌年のモナコGPでリザーブドライバーとして、インディ500に参戦したフェルナンド・アロンソの代役出場が最後となり、その記録はシューマッハと同様、306戦だった。

【次ページ】 300戦は終わりの始まりか?

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