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[ゴールデンボーイ黄昏の光]ホルヘ・リナレス「あと2戦、まだ頂点へ」
posted2022/06/18 07:01
text by
金子達仁Tatsuhito Kaneko
photograph by
Takuya Sugiyama
今年2月、ロシアの地でキャリア7敗目を喫した。17歳の時にベネズエラから来日し、今夏で37歳。その去就が注目される中、「また頑張るよ」と現役続行を宣言した。なぜ、戦い続けるのか――。円熟の天才ボクサーは明確なビジョンを持っていた。
“エル・ニーニョ・デ・オロ(黄金の少年)”と呼ばれていた頃、夢は4階級制覇だった。
「言ってたねえ、そんなこと」
もうすぐ37歳になるかつての“ニーニョ(少年)”は、髭に覆われた精悍な顔を綻ばせた。
「勝ったり負けたりだったけど、そんなに悪いボクシング人生じゃなかったと思うよ。圧倒的に勝ったことも、1ラウンドで無様に負けたこともあった。でも、3階級王者になることはできたし、ある程度、ボクシング界への貢献もできたんじゃないかな」
'22年夏現在、ホルヘ・ルイス・リナレス・パレンシアの腰に巻かれるベルトはない。この2月には敵地に乗り込みザウル・アブドゥラエフというロシア人ボクサーと戦い、最終ラウンドにTKO負けを喫した。
「久しぶりの試合だったんで、相手との距離感やタイミングに明らかな狂いはあったんだけど、最終ラウンドが始まった段階で、判定に行けば余裕で勝てると思ってたし、いい形で試合を終えようとも思ってた。で、カウンターで最後を締めようと狙ってたら、逆にカウンターをもらってしまった」
敗北はいつも、彼を打ちのめそうとする。昨年5月、ラスベガスで開催されたWBC世界ライト級タイトルマッチでデビン・ヘイニーに判定負けを喫していたリナレスにとって、これは50戦を超えるキャリアの中で2度目となる連敗だった。