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「日本一過酷な代表争い」を突破した国立静岡大野球部の“3つの掟”とは? スポ薦ゼロ、エースが教育実習で不在でも全国切符をつかめた理由 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2022/06/04 06:00

「日本一過酷な代表争い」を突破した国立静岡大野球部の“3つの掟”とは? スポ薦ゼロ、エースが教育実習で不在でも全国切符をつかめた理由<Number Web> photograph by Shizuoka University

中京学院大戦に先発した静岡大・加藤翔太(4年)。春季リーグ戦では8イニングのみの登板だったが、1失点完投でチームを大学選手権に導いた

 東海地区選手権では吉田に加え、21日の皇学館大戦(降雨ノーゲーム)に先発したものの打ち込まれた2番手格の古川陽都(3年)が翌日の登板を回避。しかし、再戦となった皇学館大戦では、今春は救援に回っていた速水龍太(4年)が完封。そして全国切符を勝ち取った中京学院大戦では、春季リーグ戦登板わずか8イニング(4試合)しか投げていなかった加藤が1失点完投という圧巻の出来だった。

 高山監督の読みも的中した。エース格の吉田が出場できないことを逆手に取り、登板が少なくデータが乏しい加藤を「打者の打つポイントが前で遅い左投手が苦手そう」と分析して中京学院大戦の先発に抜擢。大学入学後、オープン戦含め一度も完投経験がない加藤は6回から疲れが見え始めたが、「疲れたらもっと球が遅くなって打たれにくくなるはず」(高山監督)と最後まで引っ張り、2-1の接戦をモノにしたのだった。

 加藤も試合前に努力を怠らなかった。先発が決まる前から中京学院大の打者の特徴を丹念にメモし、周到な準備をピッチングに生かした。「登板前は自分の投球がハマるかもしれないとワクワクしていました」と強心臓ぶりも見事だった。

「全国の舞台は光栄。目標はベスト4」

 いよいよ6月6日から、神宮球場と東京ドームで行われる全日本大学野球選手権が始まる。かねてから「全国ベスト4」を掲げる静岡大にとっては、それを実現するこれ以上ない舞台になるだろう。

 高いチーム力に加え、全国初お披露目となる潜在能力を秘めた選手たちにも期待したい。中でも4年生・遊撃手の原田洋輔は、体全身のバネを生かした走力が光り、一塁到達タイムは3秒61を記録したこともあり、一部のNPBスカウトから既に熱視線を浴びる。また、サイドスローからキレの良い球を投じるエース吉田や中京大中京出身で打力の高い佐藤啓介という楽しみな3年生も揃う。

 主将・永井は「あの舞台でできることが光栄です。ベスト4を狙います。このチームで1日も長く1試合でも多く試合がしたいです」と気持ちを昂らせた。さまざまな逆境下でも“言い訳不要”で跳ね返して勝ち上がった静岡大が、「国立大だからこそできる」戦いを思う存分、全国の舞台で見せつける。

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