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「フルゲートの天皇賞・春は荒れる」 “圧倒的2強”に漂う不吉な予感…過去20年で8枠の優勝馬は「たったの2頭」
posted2022/04/30 11:03
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
今週もまた、1番人気にとって厳しいレースになるのだろうか。
チャンピオンステイヤーを決める第165回天皇賞・春(5月1日、阪神芝3200m、4歳以上GI)は、6年ぶりにフルゲートの18頭で争われる。京都競馬場が改修中のため、昨年につづき阪神で、1周目は外回り、2周目は内回りという変則コースでの開催となる。
「フルゲートの春天は荒れる」
先々週の皐月賞まで、今年行われたGI5戦で1番人気は全敗。昨年のホープフルステークスから数えると、GIでの1番人気は6連敗という、本命サイドにとっては嫌な流れがつづいている。
今週も、不吉な予感を抱かせる要素がいくつかある。
「フルゲートの春天は荒れる」と言われるようになったのは20年ほど前からか。確かに、フルゲートになった2003年は7番人気のヒシミラクル、04年は10番人気のイングランディーレ、05年は13番人気のスズカマンボ、09年は12番人気のマイネルキッツ、10年は2番人気のジャガーメイル、11年は7番人気のヒルノダムール、12年は14番人気のビートブラック、13、14年は2、4番人気だったフェノーメノ、16年は2番人気のキタサンブラックが勝ち、1番人気は敗れている。
フルゲートになったらなぜ荒れるのか。多頭数になると、有力馬が囲まれたり、前が壁になったりして力を出せずに終わるリスクが大きくなることは確かだが、長距離戦では、そうしたリスクを回避してリカバーする時間的余裕がある。それに、1996年に高松宮杯(現在の高松宮記念)が1200m戦になったり、NHKマイルカップが創設されたりと、日本の競馬界が中・短距離重視の方向にシフトしはじめてから、長距離戦に出てくるメンバーはある程度固定されるようになった。つまり、よく知った者同士の争いなので、力関係がハッキリして、波乱は起きづらいメンバー構成になっているはずだ。なのに、どういうわけか、フルゲートになると荒れるのだ。