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「フルゲートの天皇賞・春は荒れる」 “圧倒的2強”に漂う不吉な予感…過去20年で8枠の優勝馬は「たったの2頭」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/04/30 11:03
前走・阪神大賞典を制したディープボンド。左は2着のアイアンバローズ
2強はともに「8枠」
今年は、どちらが1番人気になるか微妙な馬が2頭いて、その2頭とも、あろうことか8枠を引いてしまった。
おそらく僅差の1番人気になると思われるのが、昨年このレースで2着に惜敗したディープボンド(牡5歳、父キズナ、栗東・大久保龍志厩舎)だ。引いたのは、大外の8枠18番。18番枠の馬が勝ったのは1979年のカシュウチカラだけで、それとて、21頭立てだったので、大外枠ではなかった。
とはいえ、昨年、この舞台で3/4馬身差の2着になった実績は心強いし、つづくフランスのフォワ賞を制し、凱旋門賞こそ14着と大敗したが、帰国初戦の有馬記念ではエフフォーリアの2着と力を見せた。そして前走の阪神大賞典を連覇して、ここで悲願のGI獲りを狙う。
過去20年で8枠の優勝馬は「たったの2頭」
もう1頭の1番人気候補は、昨年の菊花賞馬タイトルホルダー(牡4歳、父ドゥラメンテ、美浦・栗田徹厩舎)だ。こちらは8枠16番。
過去20年で8枠の優勝馬は2008年のアドマイヤジュピタと20年のフィエールマンのみ。どちらも14番枠だった。2着は04年ゼンノロブロイ、05年ビッグゴールド、07年エリモエクスパイア、10年マイネルキッツ、12年トーセンジョーダンの5頭で、17番枠だったビッグゴールド以外は16番枠だった。
まるで2着が最有力のようなデータだが、距離こそ違っていても、同じ阪神コースで行われた菊花賞を5馬身差で逃げ切った脚力とスタミナは並ではない。つづく有馬記念では、先行馬に厳しい流れのなか2番手につけてコンマ5秒差の5着と健闘した。
その後、右後肢を痛めるアクシデントで、いったん春のローテーションは白紙となったのだが、前走、3月26日の日経賞を逃げ切った。それも、ゲートから追っつけてハナに立ち、最後は後続に呑み込まれそうになりながらも粘り切る、強い内容だった。
栗田調教師が「前走時は使うことを主体に考え、細かい部分まで手が届かなかった。今回は(調教で)しっかり手前を替えるなど、いいころの走りができています」とコメントしているように、明らかに上昇している。