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「自分も勝てるライダーだと思っている」小椋藍(21歳)がMoto2で2戦連続2位! グリッドでの緊張を解きほぐす、加藤大治郎の言葉とは
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2022/04/16 06:00
昨シーズンに引き続き、出光・ホンダ・チーム・アジアからMoto2クラスに参戦する小椋。アメリカズGPではMoto2クラスで2回目の2位を獲得
連戦となった第4戦アメリカズGPで2位になれた理由のひとつは、これまで小椋が抱えてきたライディングへの課題と無縁ではなく、「アメリカ特有の左回りのコースレイアウトが、自分のウイークポイントを多少なりとも埋めてくれたから」だと分析する。
小椋はこの数年、右コーナーと左コーナーのライディングの違いの是正に取り組んでいる。その取り組みはちょっとずつだが、着実に前進しているのだという。簡単に言えば、左コーナーでできていることを右コーナーでもできるようにしようという取り組みだ。
それは小椋のライディングフォームに起因するもので、右コーナーでは頭の位置がイン側に入り過ぎてしまい、上半身がバイクから離れてしまう。それがコーナーでの旋回に影響する。その癖を直そうとこの数年は特に意識を高めていて、今年は大会最初の走行となるFP1がいちばん自分の理想とする走りになっているという。しかし、FP2、FP3、予選、決勝と速く走ろうとすると右コーナーで悪い癖がでてしまう。それは、自分が速く走れるサーキット、苦手とするサーキットと無関係ではないと小椋は教えてくれた。
一流ライダーに通じる分析能力
小椋は、軽々しく期待することを言ってくれない分、「あのときはどう? このときはどうだったの? 何が違うの? 何が変わったの?」というライディングやセッティングについての問いかけに、実に興味深い話をしてくれる。これ以上のリップサービスはないと僕は思う。さらに言えば、小椋のライバルたちの走りに対する分析能力は実に高く、Moto2クラスで戦うライバルたちがどんな走りをしているのか、という話を聞くのは実に楽しい。これは一流ライダーに共通している要素でもある。
そしてMoto3クラスで7回、Moto2クラスで3回表彰台に立ってきたが、まだ優勝を果たせていない小椋に「いつになったら勝てる?」と彼がいちばん嫌う質問をしたら、こう答えてくれた。
「毎戦勝っているライダーがいるわけだし、自分も勝てるライダーのひとりだと思っている。でも、いつになるかなんてわからない。ただ、自分への期待度が高いときはグリッドでやっぱり緊張する。そんなときは前にも言ったと思うけれど、(故・加藤)大治郎さんの言葉を自分に言いきかせている。それは、どんなにがんばっても自分がやれることしかできないということ。そう思うと少し落ち着くんですよね」
小椋藍、2001年1月26日生まれの21歳。グランプリにフル参戦して4年目を迎える今年、グリッドで緊張することが確実に増えているそうだ。
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