- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
スカウトが分析する「センバツの本塁打格差・3つの要因」とは〈大阪桐蔭は大会新11本、浦和学院も4本量産も〉
text by
間淳Jun Aida
photograph byNanae Suzuki
posted2022/04/05 11:01
大阪桐蔭の1大会最多本塁打記録が生まれたが、今センバツでは高校で偏りが出た
主砲の佐倉侠史朗は「1番から9番まで、しっかり振れる打者が揃っていました」と脱帽した。浦和学院の3番・金田がヒットで出塁した際には、自身が守るファーストで「浦和学院さんの鋭いスイングはすごいですね」と敬意を伝えたという。
今大会でホームランを放ったチームは浦和学院以外に、5校しかない。1つは、2回戦の大垣日大戦で4番・若狭遼之助が記録した星稜。2校目は準々決勝の星稜戦で勝ち越し2ランを放った下川辺隼人擁する國學院久我山。3校目は準決勝の浦和学院戦で大橋大翔が劇的なサヨナラ3ランを放った近江。
そして、準々決勝の市立和歌山戦で大会記録に並ぶ1試合6本塁打、1大会最多本塁打記録を樹立した大阪桐蔭だ。
全本塁打は以下のようになる。
第1号:高山維月(浦和学院)vs大分舞鶴
第2号:金田優太(浦和学院)vs和歌山東
第3号:若狭遼之助(星稜)vs大垣日大
第4号:伊丹一博(浦和学院)vs九州国際大付
第5号:鍋倉和弘(浦和学院)vs九州国際大付
第6号:下川辺隼人(國學院久我山)vs星稜
第7号:谷口勇人(大阪桐蔭)vs市和歌山
第8号:星子天真(大阪桐蔭)vs市和歌山
第9号:伊藤櫂人(大阪桐蔭)vs市和歌山
第10号:工藤翔斗(大阪桐蔭)vs市和歌山
第11号:伊藤櫂人(大阪桐蔭)vs市和歌山
第12号:海老根優大(大阪桐蔭)vs市和歌山
第13号:大橋大翔(近江)vs浦和学院
第14号:松尾汐恩(大阪桐蔭)vs國學院久我山
第15号:松尾汐恩(大阪桐蔭)vs近江
第16号:田井志門(大阪桐蔭)vs近江
第17号:海老根優大(大阪桐蔭)vs近江
第18号:谷口勇人(大阪桐蔭)vs近江
スカウトは大阪桐蔭の打撃をどう見た?
西谷浩一監督は「長打を打てるチームではないので、びっくりしています。ミートすれば、甲子園は気持ちが入っているのでホームランになると勉強になりました」と控えめだが、スカウトは大阪桐蔭打線のスイングスピードは今大会で突出していたと評価する。
「スイングの鋭さは浦和学院以上だと思います。1回戦でホームランが出なかったのは、相手の鳴門・冨田(遼弥)投手の投球が素晴らしかったからです。同じ腕の振りで直球も変化球も両サイドに制球されたら、高校生より上のカテゴリーの打者でも簡単には打てません。他のチームであれば確実に中軸に座る星子選手が7番にいる打線は脅威です」
浦和学院と大阪桐蔭だけでなく、ベスト4に残った近江と國學院久我山にも長打力のある打者はいた。試合を重ねて実戦不足の不安が解消されれば、ホームランが出る可能性は高くなる。ホームランが出ない――。その印象は大会が進むごとに薄まったが、球児たちは夏に向けてどれだけ力を蓄えられるだろうか。<スカウトが見た有望選手に続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。