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「今日はあんたの大好きな焼酎を…」“気遣いの人”尾崎将司の知られざる素顔とは「ジャンボには本音と建前の境界がほとんどない」
text by
金子柱憲Yoshinori Kaneko
photograph bySports Graphic Number
posted2022/03/14 17:01
1986年の日本オープン、多くのギャラリーを引き連れてラウンドする尾崎将司
あまりにも分かりやすい性格なので、ジャンボは、ファンもアンチも引き付けてしまいます。あるトーナメントで私がジャンボとプレーしている時、ジャンボが短いパットを外すと拍手するギャラリーがいました。きっとそのギャラリーの方は、誰かを応援するのではなく、ジャンボの負ける姿を見てみたいという思いだったのかもしれません。ファンもアンチも見たくなる選手がジャンボなのです。
あるパーティーで渡辺司さんが師匠である青木功さんについて、「普通、秀でた人を表現する場合、あの人は人が持っていないものを持っていると言いますが、青木さんの場合は人が持っているものを持っていない」と面白い表現をしていました。
では私から見たジャンボはどうかというと、「当たり前に人が持っているものを持っている」人だと思います。ただ、物事の表現が正直すぎるところと行動力がスピーディーであることは間違いありません。この辺が、特別と言えるでしょう。
ある食事会でジャンボは「俺は人よりビビリだから妥協せずに練習するし、人より小心者だから、弱いところは見せないようにしているだけだ」と言ったことがあります。お酒も入っていたので案外本心かもしれません。
ジャンボは2021年の1月24日で74歳の誕生日を迎えましたが、シニアツアーに出場したことはありません。その理由を詳しく聞いたことはありませんが、未だにジャンボのシニアツアー待望論はあります。A・Netのアンケート調査では、42%のゴルフファンがシニアツアーでの雄姿を見たいと回答しています。またレギュラーツアーに出てほしいと答えているゴルフファンが23 %いて、合わせると65%のゴルフファンがレギュラー・シニアにかかわらずジャンボのプレーを観たいと切望していることになります。
私が2、3年前のブリヂストンオープンに仕事で会場を訪れた時、ジャンボの組が石川遼選手の次にギャラリーが多かったことに少し驚きました。成績の出来不出来などは度外視して、単純にジャンボ自身の姿を見たいのでしょう。苦言を申せば、人を引き付けるような魅力ある選手が、少ないとも言えます。