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野球出身ならではの「地獄のノック」も… 愛弟子が明かす尾崎将司“ジャンボ流トレーニング”のウラ側「階段の上り下りだけで激痛が…」
text by
金子柱憲Yoshinori Kaneko
photograph bySports Graphic Number
posted2022/03/14 17:00
世界プロツアー史上最多となる113勝の記録を持つ尾崎将司。現在は「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の指導者として辣腕を振るう
ミニクラブに関しても、ドライバーを半分くらいの長さまでカットし、ヘッドの中に鉛を流し入れ、500グラム程度の重さのクラブにしていました。ショートクラブで球を打つ時は、ジャンボ特製の高いティーアップ台にボールをセットして打つのです。
このミニクラブは、体全体でボールをヒットしないと思うように飛びませんし、まっすぐ飛ばないようにできています。いくら腕を強く振っても球は伸びてくれません。その練習を繰り返すことで、飛ばしに最も重要である体の使い方を習得していくのです。
また、左手や右手だけで球を打つトレーニングも行っていました。
左手の場合は、スイングプレーンをつかさどる左手の強化が目的です。右手は、手首の柔らかさやスナップを強化します。しかし、これも腕だけで打つとミート率も悪く、飛球もバラバラになります。
ミニクラブの練習はトレーニング中、欠かさず行います。
当時のトレーニングは、午前10時から始まり、昼食と休憩を挟み午後6時頃まで続きました。午前中は20分程度の軽いランニングから始まり、ダッシュや持久走(タイムトライアル)、各種動き作り、筋力トレーニング等、野球でいうアップに多くの時間を割いていました。
天候が悪く室内で行う時は、ストレッチにかなりの時間を振り分けます。
日頃からジャンボは
「筋肉隆々の体はゴルフに必要ない。ゴムまりのような強くて柔らかい筋肉を作ることが大切」
と、口が酸っぱくなるほど繰り返していました。そのため、筋力トレーニングよりもストレッチのほうがきつかったのです。
ストレッチと言っても、気持ち良い感覚などありません。終わったあとには、全員、汗まみれでした。
午後からは、ミニクラブとハゴミントン(ジャンボが考案した羽子板とバドミントンをミックスしたようなゲーム)を行い、最後に野球出身のジャンボならではの「地獄のノック」でトレーニングは終了です。
地獄のノック――。これは今でも思い出したくないトレーニングです。約10 メートルの幅を左右に振られながら一人5本連続でキャッチするまで延々と続きます。