2021年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
じつは39歳&38歳“若手でもない”モグライダーに聞く、なぜこれまでM-1決勝に行けなかった?「M-1スタッフは星野リゾートの人みたいでした」
posted2022/03/13 17:01
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Shiro Miyake
「いいえ私はさそり座の女♪」美川憲一『さそり座の女』のネタを披露したモグライダー。ツッコミ担当の芝大輔は38歳、ボケ担当のともしげは39歳……じつは今大会、錦鯉の次に年齢を重ねたコンビだった。2人に聞く“なぜこれまでM-1決勝に行けなかったのか?”。(全3回の2回目/#1、#3へ)
ずっと「ニューピアホール」で負けてきた
――今大会は予選中から、みなさんがモグライダーの名前を挙げていました。中にはすでに優勝候補だという人もいたりして。準決勝後、決勝進出者の名前が発表されるときは、どんな心境だったのですか。
芝 正直、自信はあったんです。たぶん、行ってるだろう、と。コロナの関係で(予選の)会場にずっといるわけにはいかなかったので、そこまで他の人のネタを見たわけではなかったんですけど、自分たちのできることはできた、と。それに見合う反応ももらっていたので。これで行けなかったら、もうダメなんじゃないかというぐらいの感覚ではいました。
ともしげ 僕らは、いつもニューピアホール(東京・竹芝)で落ちてたんです。あそこはすごく広いんで、お笑い向きのハコじゃないんです。
――2018年から3年連続で東京の準々決勝はニューピアホールでした。モグライダーはいずれの年もそこで負けていたんですよね。
芝 その年、初めてのニューピアホールに立つと、初っ端、「あれ?(反応が)違うな」みたいに思っちゃう。あそこの独特な雰囲気を、毎年すっかり忘れちゃうんです。3年連続で失敗して、今回は、ようやく本気で何とかしなきゃと思うようになりましたね。
――ニューピアホールでやる場合は、ネタどうこうというよりは、発声の仕方を変えたりするものなのですか。
芝 というよりは、心構えですね。僕らのように普段、ちっちゃいハコに慣れていると、ニューピアホールの返りの弱さというか、(客の)遠さが気になっちゃうんです。それで初っ端のボケで思ったような返りがないと、焦って、めちゃくちゃでかい声でやり出したり、次のボケまで走り出してしまったりする。そうやって、自滅してしまう。でも、実際は、そこまで気にしなくていいんです。こういうもんだと思って、いつものペースでやっていれば、そのうちお客さんも追いついてきてくれる。それに気づくまでに時間がかかったということですね。
「M-1の番組スタッフは星野リゾートの人みたいだった」
――今回、準々決勝はルミネ(the よしもと)で、準決勝がニューピアホールでしたね。ネタはどちらも「さそり座の女」でした。