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「Where is サンファ?」小平奈緒の“神対応”に韓国メディアが驚いた理由…10代の頃に出会った2人のレジェンドの友情物語
posted2022/02/18 11:04
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
JMPA
北京五輪において、日本と韓国の両国で注目を集めているのは、スピードスケート女子の小平奈緒とイ・サンファの“友情物語”だろう。
2人がスポットライトを浴びたのは4年前の2018年平昌五輪。
スピードスケート女子500mで、五輪3連覇を狙ったイ・サンファ(李相花)だったが、結果は銀メダル。当時、W杯と世界選手権で負け知らずの小平が36秒94秒の五輪新記録を樹立して金メダルを手にいれた。
母国の期待を一身に背負いながらもあと一歩及ばず、泣きじゃくるイ・サンファの肩を抱いて寄り添うシーンは、これからも日韓で語り継がれるに違いない名場面でもある。
解説席で小平を見守ったイ・サンファ
イ・サンファは女子500mの世界記録保持者であり、2010年バンクーバー五輪と2014年ソチ五輪で同種目を連覇。2019年に引退したあと、同年10月に結婚。韓国でスピードスケート人気に火をつけた当の本人だが、昨年放送されたバラエティー番組で「引退したあと、(国内で)人気のない種目になった。どうすればまた注目してもらえるか考えるようになった」と語っている。
「リンクに戻ってきてくれば、できることがたくさんあるのではないか」と指導者への転身を進める人も多いが、今はまだ後進の指導にはあたっていない。
ただ、彼女は今も韓国スピードスケートの女王である。北京五輪にはKBS(韓国放送公社)解説者として訪れていた。2人の友情はここでも話題となる。
北京五輪のスピードスケート女子500mは韓国でも生中継され、前回女王の小平の滑りをイ・サンファが泣きながら解説するシーンが話題になった。
実況:「(スタート前)小平選手の心境はいまどうでしょうか?」
イ・サンファ:「彼女は五輪チャンピオンです。そして五輪新記録を持っている選手です。しっかりと自身が培ってきた努力をここで見せればいいんです」
小平はスタート1歩目で左足がつまずき出遅れると、イ・サンファの表情が曇りはじめる。
イ・サンファ:「ああ、少し遅れました。ついていかないといけません。慌てずにそのままいけると考えればいいのです。ああ……」
実況:「小平奈緒選手が思ったよりも少し遅れています。プレッシャーも確かにあるようです」
イ・サンファ:「諦めないで。最後まで最後まで行こう……」
17位というまさかの結果にイ・サンファは、言葉を詰まらせながら解説席でずっと涙を流していた。
「私は(小平選手が)この重い王冠の重みに勝つと思っていたのに心理的な重圧がとても大きかったんだと思います」
解説を終えたイ・サンファと結果を残せなかった小平。実は2人のやり取りにはまだ続きがある。