「実は小平選手は4年前に平昌で金メダルを獲得した選手なので、当然、今大会も優勝候補でした。通常であれば、メダルを獲得した選手たちをインタビューすることになっています。もちろんメダルを獲得すると思い、小平選手を待っていたのですが、予想外に成績が悪かった。成績の悪い選手はインタビューを応じずに通り過ぎることがあります。あまり気分もよくないでしょうから。

　でも、そこは覚悟を決めて、小平選手にイ・サンファ氏のことも伝えて、インタビューをしたいと伝えました。そしたら、しっかりと足を止めてくれたんです。成績が10位圏外でしたが、イ・サンファ氏が解説席で試合を見ていたと伝えたら、ずっと捜していましたね」

　さらに小平が韓国語で話し始めたことと対応力にも驚きを隠せないでいた。

「韓国語で話し始めたことが、すごく感動的でした。『会いたかったよ。私は、今日は良くなかった』と簡単な韓国語ですが、それが視聴者には感動的に映ったのだと思います」

　さらに小平の日本の報道陣への対応ぶりにも目を丸くしていた。

「高木美帆選手がスピードスケート500mで銀メダルを獲得し、日本の報道陣にはお祝いの雰囲気があったんです。一方で小平選手は敗れたにもかかわらず、多くのメディアの取材要請を丁寧に受け止め、敗れた感想を語る姿を見て、トップクラスのアスリートであること、そして“品格”を感じました」

平昌五輪のレース後に仲良く撮影するイ・サンファと小平奈緒　©︎AFP/AFLO

　イ・サンファが小平の敗戦に涙を流していた舞台裏を違う角度から報じることで、2人の熱い“友情”を改めて知ることができた。

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