三塁側のスタンドからはBグループの練習風景を望むことができる。Bグループでも投内連携が行われていた。

　一塁にはファーストミットをつけた巨漢が構えている。昨年の本塁打王杉本裕太郎だ。杉本は昨年、右翼手としてリーグ最多の11補殺を記録。一塁は6試合しか守っていないが、打線のフレキシビリティを高めるためにも一塁を守ることができるのは、重要なことなのだろう。ランダウンプレーも軽快にこなしている。調整は順調なようだ。

　主力捕手の伏見寅威や外野手の後藤駿太もBグループで身体を動かしている。

12球団最大級のブルペンは実に壮観だった

　さて、オリックス春季キャンプの最大の見ものはブルペンだ。10人の投手が同時に投球練習できるブルペンは、12球団でも最大級。投球練習は実に壮観だ。観客席も設けられ、例年ならばファンも見ることができるが、今年は報道陣だけだ。

　気温が上がった11時半、レガース、プロテクターを身につけた捕手たちがずらりと並ぶ。甲冑をつけた武者が勢ぞろいしたようだ。

　続いて投手陣が現れる。リーダー格はクローザーの平野佳寿だ。ベテラン救援投手の比嘉幹貴、日本シリーズでも活躍した吉田凌、右腕の村西良太などなど。陽岱鋼にそっくりなのは従弟の張奕、2019年のプレミア12では台湾のエース、快投が印象的だった。

　平野佳寿はベテランらしく、ゆっくりと腕を振っていたが、次第に気合を入れて投げ込み始める。

ブルペンの様子

　他の投手も思い思いのスタイルながら、調子を上げていく。「ズバン、ズバン」という音がブルペン内に響き渡る。キャンプに参加している審判たちが「ストライク！」と手を上げる。音が次第に大きくなっていく。「最高潮」という感じだ。

　投手陣も便宜上Aグループ、Bグループに分けられているが、ブルペンでの投球練習は区別せずに組まれている。すべての投手が横一線で競争しているのだ。

　投げる球数は投手によって細かく決められている。ベテランの平野佳寿は少ない球数で引き揚げ、そのあとに宮城大弥が上がった。昨年の新人王は1月に新型コロナの陽性判定を受け、療養ののち、キャンプは大阪のCグループで始動した。

宮城大弥

　2月5日に宮崎に合流し、その足でブルペンへ。その日は捕手を立たせて投げ込んだだけだが、翌日からブルペンに。左のエースとは言えども、この競争の中で出遅れたくないのだろう。まだ全力ではないようだが、投げ込むうちに笑顔も浮かんできた。

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