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元アイドルの“現役女子高生”がなぜプロレスを? 細川ゆかり(工業高2年)の“やりたいことやりまくり”人生「卒業後は医療系に」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/01/16 11:01
GLEATに所属する高校2年生の女子プロレスラー・細川ゆかり
工業高校の電気科に進学したワケ
興味を持ったらやってみたくなる性格だ。細川はプロレスラーを目指すことにした。その準備として入ったのが、プロレス団体HEAT-UPの道場での一般向けクラス。所属のレスラーたちが指導してくれた。柔術など格闘技に加えてプロレスのクラスもあった。
HEAT-UP道場ではさくらえみによるプロレス教室『誰でも女子プロレス(ダレジョ)』が開講されており、細川も参加。
HEAT-UP道場の「発表会」やアクトレスガールズの配信イベントマッチへの出場を経て、さくらの我闘雲舞が練習生を募集すると聞いて応募。「リンリン」のリングネームでプロレスラーとなった。この時点でまだ中学3年生である。
中学生レスラー・リンリンは翌2020年の春、工業高校の電気科に進学する。女子生徒は少ないが「電気ピカピカさせたくて」入ることにした。
「エレクトリカルパレードを見て、これを作る人になりたいと思ったんですよ。そのためには工業高校、電気科だなって。いずれGLEATの照明も自分でやりたいですね」
男子にまじって相撲部に入部…やりたいことをやりまくる
高校でやってみたかったことは他にもある。相撲だ。
「千代丸関のファンなんです」
学校には相撲部があった。女子部はなかったが顧問の先生に入部できるか聞いてみるとOKと言われた。現役プロレスラー相撲部員(高1)の誕生である。
「四股って、やってみると凄くきついし足腰が鍛えられるんですよ。それはプロレスにも役立つんじゃないかと思います」
現在は相撲の練習からは少し離れている。練習場に行くのは主に筋トレが目的。今はプロレス優先ということもあるが、コロナ禍で女子の大会が開催されていないのだそうだ。
「高校生のうちに相撲の大会に出たいんですけど」
仮に細川が相撲の大会に出た場合、それは“プロレスvs.相撲”の他流試合になるのかどうか。レアケースすぎて分からないが、今年はチャンスがあるかもしれない。
こうして、細川は生まれて十数年やりたいことをやりまくってきた。「将来、役に立つと思って」各種の資格を取りまくってもいる。第二種電気工事士、危険物取扱者、情報技術検定に手話技能。学校で必要なものもそうでないものもある。近いうちにフォークリフトの免許も取るつもりだ。
予備校にも通っていて、高校を卒業したら医療系の大学に進みたいと考えている。中学生でプロレスラーになったが、だからといってプロレスのことしか考えられない人生というわけではなかった。むしろやりたいことが多すぎる。