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元ヤクルト・雄平(37)の引退後の現在とは? 楽天の練習場で見た、“練習の虫”だった現役時代と変わらない「ガムシャラさ」
posted2022/01/17 06:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
KYODO
選手として見ていたグラウンドの景色は、コーチになって一変した。スワローズで19年間の現役生活を終えた雄平はこのオフ、イーグルスの二軍打撃コーチとして秋季練習のグラウンドに立った。
「選手のときは自分に向き合ってやっていくことを大事にしてきましたから、若い選手にもそうなってもらいたいなという気持ちはあります」
練習の虫で、ひたすらバットを振り続けた雄平のガムシャラさは、コーチになっても変わらない。まず昨年の一軍の全試合、二軍も可能な限りの試合の映像を、秋季練習が始まるまでに見終えた。相当な時間を費やさなければできることではない。
「そうですね(笑)。でも僕、そういうのは好きなんですよ。もともと感覚で打つタイプなんですけど、データや映像はずーっと見てるタイプだったので……パ・リーグのピッチャーも見ておきたかったですしね」
秋季練習初日に指導を仰ぎに来た選手は…?
秋季練習の初日、雄平を見つけてすかさず指導を仰いだのがプロ3年目を終えた25歳、雄平と同じ左打ちの外野手、小郷裕哉だ。昨年、開幕スタメンを勝ち取りながらケガもあって一軍では38試合の出場にとどまり、悔しい1年を過ごしている。
「初めからああでもない、こうでもないと言うのは嫌だったんですけど、小郷が『どうしても今日教えて下さい』と言うんで(笑)。いいけど、まずは知識として入れて、トライしたければトライする、違うと思えばやめるくらいの感じでやったほうがいいよ、とは言いました」
小郷が訊いてきたのは2ストライクからのアプローチと、身体に近いポイントで打つにはどうすればいいかということの2つ。雄平が続けた。
「前目のポイントで打つからホームランが打てるのであって、それは小郷の長所。そこは大事にしながら3割を打つために身体に近いポイントで打つことも大事。そこを使い分けられれば2ストライクからのアプローチにも繋がっていくよ、という話をしました。ただ、まずは練習を積み重ねてから。簡単にできるものじゃない。バッティングは一瞬の動きだから、試合では感覚で打たないといけない。その感覚を研ぎ澄ますためには、量も必要だと思うんです」
雄平は小郷にだけでなく、取材に対しても“相当な時間”を費やして、丁寧に話をしてくれた――。