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巨人の育成契約を断った山下航汰は社会人野球へ…プロ野球「支配下70人枠」は必要か?「不公平論」vs原監督「枠なんていらない」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/01/07 17:05
2019年には育成から支配下契約となり、背番号「99」をつけていた山下航汰。今季から社会人野球でプレーする
ソフトバンクでは四軍創設の動きも!?
本家本元のソフトバンクでは、更に四軍創設の動きもあるというニュースも伝わってきている。実質的には70人枠は有名無実化しているとも言える。
それなら70人枠があろうと、なかろうといいのではないのか。もはや70人枠は球界の大きな問題ではないのではないのか。そういう論理もあるかもしれない。しかしやはりこの70人枠が選手の契約や育成の大きな足枷になり、だからこそ山下は自ら巨人退団を決意しなければならなかったとも言える。それくらいに選手にとっては支配下選手と育成選手とでは大きな差があるということなのである。
山下が退団した巨人で考える。
今季の巨人は実に41人の育成選手を抱えて、総勢100人を超える大所帯でスタートを切ることになった。
ただ現時点で支配下選手枠は獲得の決まった新外国人選手のグレゴリー・ポランコ外野手(前トロント・ブルージェイズ)を含めて60人しか埋めていない。
残り10人の枠をどう使うのか。
原監督「弱肉強食の中に希望や目標がないといけない」
「何よりフェアでなければいけないのは、頑張った、力のある人たちは東京ドームで暴れるチャンスがあるんだということ。弱肉強食の中に希望や目標がないといけない。(そのためには)最低でも6、7枠を空けて戦いに挑む。目標がないといけないからね。競争が激しくなることがチーム力を上げるし、個人の成績(アップ)も成長も促すことができる」
こう語るのは原辰徳監督だった。
41人もの育成選手の中には、もちろん昨年の育成ドラフトで獲得した10選手に加えて、一昨年の育成ドラフト指名でまだ支配下登録にまで至っていない実力不足の選手もいる。また故障や手術明けで今季の開幕からフル稼働が難しい選手も含まれている。
一方で昨シーズンの支配下登録から育成契約となった選手も12人いる。その中の4人は手術明けなどでリハビリのために育成契約となったが、一軍経験もある横川凱投手ら残りの8人は支配下枠の当落線上の選手たちだ。彼らに加えて、2019年のドラフト1位でトミー・ジョン手術明けの堀田賢慎投手などの名前もあり、開幕か少なくとも登録期限ギリギリまでに支配下登録を期待される選手たち、競争で這い上がることを求められて育成契約となった選手の名前も多くある。
山下もまさにこの枠の選手だったはずだ。