Number ExBACK NUMBER
囲碁界大激震…「AIソムリエ」関航太郎20歳が史上最速でタイトル獲得できた“独自すぎる研究法”とは?《秋篠宮悠仁さまと芋掘りも》
text by
内藤由起子Yukiko Naito
photograph byKYODO
posted2021/12/30 06:01
令和三羽ガラスの1人、一力遼(右)から天元のタイトルを奪取した関航太郎
「大舞台では負けない自信があった」
それは関が大きい舞台ほど集中力が増し、実力を発揮するタイプであることに尽きるだろう。「新人王戦のときも、(決勝の)相手は本因坊リーグに入って活躍している佐田篤史七段で僕はただの三段。たいした実績もなかったのですが、当時の棋士人生で一番いい碁が打てました。自分の碁を多くの人に見てもらえるのが嬉しくて」。昔から大きな舞台ほどうまくいくイメージがあるという。天元戦も「対局前から自信を持って臨めました。一力さんとは明らかに実績、実力で劣るのはわかっていました。しかし大舞台では負けない自信があった」というのだから。
関が他のプロと大きく違うのは、AIとの付き合い方だ。
多くの棋士は、自分の打った碁をAIにかけて、その手がよかったか、何がよかったかを反省する。関が好きなのは、AIどうしの対局を見ていることだという。そんなことをずっとやっている棋士は、ほかにきいたことがない。
AIの打つ手は人間と違ってストーリーがわかりにくく、見ていて面白さはなかなかわからないのだが。「純粋に、強い者の碁が見たいのです。深みのある碁を見て吸収したい。理解するのが難しいので、理解できるようになるとおもしろいですよ。AIの手を予想して、当たったときは一番気持いい」と関。また、「人間はどうしてそう打ったか教えてくれるかもしれませんが、ウソかもしれません。AIは入力すればいいのでAIのほうがききやすい」という。
関は「AIソムリエ」と呼ばれるようになった
いつしか関は「AIソムリエ」と呼ばれるようになった。独自の研究方法で大きく花が開いたのだ。
関が囲碁と出合ったのは5歳のとき。「外で鬼ごっこをするような活発な子どもで、誰とでも仲良くなる性格。クラスの中心にいるタイプでした」と関。当時はピアノ、柔道、水泳、サッカーなどの習い事をしていた。祖父が囲碁好きで遊んだこともあったし、親が「囲碁は頭にいいから」と習い事に加えた。