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親会社の業績は600億円以上アップ? 2021年の大ヒット競馬ゲーム「ウマ娘」が塗り替えた“数字”とは
posted2021/12/04 11:02
text by
河村鳴紘Meikou Kawamura
photograph by
Cygames, Inc.
2021年も終わりに差し掛かる今、競馬でもさまざまな出来事がありましたが、その一つにスマホゲーム「ウマ娘」の大ヒットも挙げられます。毎年、その年の消費トレンドをランキング形式で発表している「2021年ヒット商品ベスト30」(日経トレンディ)では、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や「BTS」を抑えて2位にランクインしました。
トウカイテイオーやスペシャルウィークなどが美少女になった姿を見たときに、驚いた古参競馬ファンも少なくないはず。そこで、改めて「ウマ娘」の快進撃を振り返ってみます。
人気に火をつけたのは「アニメではなくスマホゲーム」
「ウマ娘」は、ゲームだけでなく、アニメやマンガなどでも展開するマルチメディア・コンテンツです。実在の競走馬の名前と魂を受け継ぎ、ウマの耳と尻尾を持つ可愛らしい美少女「ウマ娘」たちが、学園生活を送りながらレースに挑むという内容です。
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プロジェクトは2016年に発表され、競馬ファンの記憶に刻まれたスターホースが美少女になって復活、ターフで対戦するという設定に、当時から話題になりました。
ただ人気に火が付き、社会的に注目されたのは、もちろん今年2月に配信を始めたスマホゲームでした。当初の配信予定から2年以上も延期され、「ゲームは出るのか?」と危ぶまれていました。当然、ゲーム開発費の負担は相当なものだったでしょうが、ゲーム内容の質を高める決断が「吉」と出ます。
「美少女がターフを走る」全く新しい競馬ゲーム
ゲーム版は、プレーヤーはトレーナーとなってウマ娘にトレーニング(訓練)をして能力を伸ばし、レースでの勝利を目指すという内容です。キャラクターの出来の良さに加え、目の肥えた競馬ファンが驚くほどレースが作りこまれていました。
スタートで出遅れたときのガッカリ感はもちろん、道中の馬群の位置取りにハラハラしますし、最後の直線の攻防はたまりません。一番人気の自分の「ウマ娘」が他馬に包まれて、実力を出せずに敗れたときの絶望感。逆に馬群を割って伸びたときの高揚感。ゴール前でギリギリ差し切ったときのドキドキ感。どれをとっても本物の競馬のようでした。
また一方で、負けても回数制限付きながらやり直しができる点も、他の競馬ゲームとは異なる同作ならではのポイントでしょうか。実際の競馬とは見た目が大きく違うウマ娘ゆえに「架空の世界」で許されるという雰囲気もあったのかもしれません。