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ヤクルト高津“二軍監督”が語っていた「3年目の高橋奎二は回復が追いつかない」6年前の“高卒ドラ3”が日本シリーズでプロ初完封するまで 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byNaoya Sanuki

posted2021/11/23 11:08

ヤクルト高津“二軍監督”が語っていた「3年目の高橋奎二は回復が追いつかない」6年前の“高卒ドラ3”が日本シリーズでプロ初完封するまで<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日本シリーズ第2戦、プロ6年目で初完投初完封を果たした高橋奎二(24歳)

「1にはいろいろな意味がありますからね」

 1イニングの1か、ひとりの1か。

 解答は、1イニングだった。

「高橋に頼る、高橋に任せる」

 すでに122球を投げていた高橋がマウンドに向かう。

 これは二軍時代から育成にあたってきた高津監督にとっては、大きな意味を持つ瞬間だった。

 もちろん、ブルペンを投入する作戦もあったはずだ。しかし、前日に抑えのマクガフが一死も取れずに逆転負けを喫したことを考えると、

「高橋に頼る、高橋に任せる」

 という判断を下したのだろう。日本シリーズ、ひょっとしたら、高橋にとってはこれが最後の登板になるかもしれず、リミッターを設ける意味も少ない。

 問題は、出力の大きい高橋が、オリックスの中軸を抑えられるかどうかだった。

 9回の高橋は見事だった。

 首位打者、吉田正尚にはいい当たりを許したが、ショートライナー。

 4番のラオウ杉本裕太郎をライトへの凡フライ。

 そして最後は代打のアダム・ジョーンズを三振に切って取った。

 マウンドで、ダグアウトでガッツポーズが乱舞した。

 もしも、連敗していたら、ヤクルトはがけっぷちに追い込まれているところだった。

 セ・リーグの優勝を支えたブルペン陣、特に抑え役を使いづらい状況で、窮地を救ったのが、手塩にかけて育ててきた高橋奎二だったことに、高津監督は大きな満足を感じていたはずだ。

 育成の重要性が、日本シリーズという檜舞台で発揮された第2戦は、第1戦に続き、素晴らしい作品となった。

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