「長くやってたら、いろんなことがある。良かったことも悪かったことも、屈辱を味わったことも。悔しい思いして腹が立つこともいっぱいあったけど、結局野球やらせてもらえるんだから、プロがごちゃごちゃ言うもんじゃないと思ってやってた。人生、どこかで我慢しなきゃいけない時期があると思う。耐えることは、人生において非常に大事なことだと思う」

――才能に溢れたスマートな選手に見えても、タッさんは気持ちが強い選手と思うよ。

「古い言葉だけど、根性って言葉が好きで。挫折したときにもう一回がんばれるか。酒飲んで遊びに行って、そのときは気が紛れるけど、朝起きたときに現実に直面して、いかに気持ちをコントロールできるか。それをできるのは自分だけやから」

©Hideki Sugiyama

野球への姿勢は「当たり前のことに当たり前に厳しくする」

――そやな。そういった野球への姿勢をチームにはどう伝えてきたの。

「たとえば見た日。身だしなみは大事やと思うけど、若い選手見ていると、技術を磨く前に自分の格好から磨いていく。やっぱりまずは野球で見せないと。活躍することでホンマの格好良さが出てくる。よそのチームの選手に口を出すことはないけど、ドラゴンズに限ってはそういう風に言うてきたよ」

――やっぱり厳しいね。

「当たり前のことに当たり前に厳しくする。これは時代が違っても変わらないこと。そういう信念は貫いてきた」

2013年には、WBC日本代表の打撃コーチに就任した　©Naoya Sanuki

――若手にアドバイスすることも多かったんやろ。

「取り組む姿勢とか大事に言ってきたんやけど、なかなかね。考え方が甘いのか。結局は本人ががんばれるかどうかやし、やらされてるうちはホントに自分のもんにはなっていかない」

――練習を覗きに行くと、同じこと何回も言うてたもんな。

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