濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「対人恐怖症」「引きこもり」だった少女がプロレスと出会い、リングで輝く“強くて綺麗なお姉さん”になるまで《真琴15周年特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/10/27 11:01
“元引きこもり”からプロレスを志したのち、多くの団体を渡り歩き今年15周年を迎えたプロレスラーの真琴
裏方タイプの真琴が挑む“最初で最後の自主興行”
TAJIRIをはじめ、この15年で関わった選手が数多く参戦してくれることになった。メインイベントでは真琴が米山香織、春日萌花、朱崇花と組んで中島安里紗&松本浩代&中森華子&野崎渚と対戦する。相手チームは全員、2006年デビューの同期だ。
「同期が女子プロレスのトップばかりなんですよ。このメンバーに出てもらえる私って凄くないですか(笑)」
自分よりも自分の周りに自信があるのだった。興行主催にはまったく慣れていない。チケット料金を安く設定したため、カードを組んでみると満員でも赤字確定だと発覚。あとはグッズの売上に頼るしかないと苦笑する。
「もともと中心になって何かをやるとか引っ張るとか、そういうタイプじゃないんですよ。どの占いを見ても“裏方に向いてる”って書いてあるし。自主興行も今回が最初で最後です」
「私はプロレスしか知らない。プロレスだからやってこれた」
本人に自信がなくても、周りが放っておかない。この世界で誰よりも成長を感じさせる15年だった。ファンはそれを見てきた。“無気力ファイター”は“オリエンタル・ドール”と呼ばれるようになり、イメージDVDも販売されている。
選手としての欲も、実はある。女性も憧れる「強くて綺麗なお姉さん」になりたいという思いはずっと変わらない。そして、いずれ引退したら、愛する秋葉原に道場兼常設会場を作って裏方に回りたいという。引退しても、やはりプロレスに関わりたいのだ。
「私はプロレスしか知らないし、プロレスだからやってこれた。学校から何から全部やめてしまったのにプロレスだけは続いたんです」
運動神経ゼロの元引きこもりにそうまで言わせる力がプロレスにはある。不思議なジャンル、不思議な選手。きっと11.1後楽園も、不思議な魅力のある大会になるだろう。
(撮影=杉山拓也)
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