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「勝てるところまできていたので…」SO松田力也の悔しさは本気の証 〈世界3位に善戦〉も日本代表に欠けていた“規律”とは
posted2021/10/25 17:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
世界ランク3位に、ジャパンが肉薄した。
ラグビー日本代表が10月23日にオーストラリア代表と対戦し、23対32の接戦を演じた。4年前のテストマッチで30対63と完敗した相手に真正面から挑み、残り2分まで4点差と食らいついた。19年のW杯以来となる国内でのテストマッチは、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)率いるチームの成長を感じさせるものだった。
約3年ぶりの先発に燃える松田力也が躍動
戦前の予想を上回る好ゲームを演出したのは、スタンドオフの松田力也だ。埼玉パナソニックワイルドナイツ所属の27歳は、18年11月以来ほぼ3年ぶりの先発となった一戦で、持ち前のスキルを発揮していく。
16分にこの日1本目のペナルティゴールを確実に決めると、3対14で迎えた26分にトライを演出する。フィールドのほぼ中央から右サイドの大外で待つウイングのレメキロマノラヴァへ、ピンポイントのクロスキックを通したのだ。レメキがインゴールへ飛び込み、日本代表の初トライが生まれた。
松田にとっては狙いどおりである。
「攻めていることでディフェンスが寄ってきて、外からいいコールがあったので、自分のスキルを信じて、コールを信じて。いいキックを蹴ればスコアしてくれると思ったので、やってきたことが出せたなという感じでした」
トライ後のコンバージョンも成功させ、33分にもペナルティゴールを決めた。松田が得点機をもれなく生かし、チームは前半を13対17で折り返す。
後半に入った48分には、フルバックのセミシ・マシレワが負傷で退き、田村優が登場する。松田はフルバックにポジションを変えた。スタンドオフ、センター、フルバック、ときにはウイングもこなすユーティリティバックスは、最後方からゲームをコントロールしていった。
「ベンチからは15(フルバック)と指示があったので、ゲームが動くなかで優さんがポイントに入って居なかったりすると、僕が10の位置に上がるというのは、やってきたというか、自分の仕事柄そこへ行ってしまうというか、コントロールする立場になれればと思ってやっていました。いいコミュニケーションで優さんの近くでプレーして、何かあれば僕が出ていくといういいバランスでできたんじゃないかと思います」