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大谷翔平が「MLBの新たな歴史を作った」と断言できる2つの理由《21世紀で最大の仕事量+増える二刀流フォロワー》

posted2021/10/25 17:10

 
大谷翔平が「MLBの新たな歴史を作った」と断言できる2つの理由《21世紀で最大の仕事量+増える二刀流フォロワー》<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

二刀流としてフルシーズンを戦い抜いた大谷翔平。その偉業は、MLBに新たな価値観を提示したという意義もある

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Nanae Suzuki

 ひとことで言うなら、2021年の大谷翔平には「楽しませてもらってありがとう」に尽きるだろう。

 新型コロナ禍でうつうつとし、楽しみが限られる1年だった。またオリンピックも満足に開催できる状況ではなかったが、海の向こうで大谷は大暴れをしてくれた。日本だけでなくアメリカのファンにも「人間」と「野球」のさらなる可能性を見せてくれた。

 日本時間10月29日(現地28日)には大リーグ選手会によるプレーヤーズ・チョイス賞、同11月12日(11日)にMLBのMVPの発表がある。大谷はアメリカン・リーグの最有力候補と言われている。

 NPBでは、MVPは基本的に「リーグ優勝に最も貢献した選手」に与えられる。ただし、下位チームでそれを上回る抜群の活躍をした選手がいれば例外もある。2013年にNPB記録のシーズン60本塁打をマークしたヤクルトのバレンティンが最下位チームから選出されたのが直近の例だが、基本的には「優勝チーム」から選ばれることが多い。

 しかしMLBではペナントレースとは関係なく「シーズンで最も活躍した選手」が選ばれることが多い。大谷翔平のチームメイトのマイク・トラウトは2014、2016、2019年の3回MVPに選ばれているが、チーム順位は1位、4位、4位だった。

 そういう前例を考えれば、今季ア・リーグ西地区4位のチームに所属する大谷が受賞する可能性は大きいだろう。

2021年の大谷は「仕事量」が半端なかった

 では、MVP有力候補とされる今季の大谷は、どれだけすごかったのか?

 筆者はここまでいろいろデータを出してきたが、投手・打者の二刀流で活躍したことの本当のすごさを今一つ説明しきれていない感じがしていた。

 そこで、改めてデータで示してみたい。

 端的に言えば、大谷翔平は「仕事量」が半端ではなかったのだ。

 投手・大谷翔平の「被打撃成績(大谷が対戦した相手打者との成績)」と打者・大谷翔平の「打撃成績」を併記すると、以下のようになる。カッコ内は通常の投手成績である。

 投手:23試合 473打数98安打15本塁打48失点 2盗塁 44四球 156三振 率.207
(23試合 9勝2敗130.1回 率3.18)
 打者:155試合 537打数138安46本塁打100打点 26盗塁 96四球 189三振 率.257

 打者として規定打席に達してほぼフル出場した大谷だが、投手としてもほぼレギュラー打者1人分の勝負をしたことになる。

 被打数、打数にそれぞれ四死球や犠打犠飛を足した対戦打者数は533、打席数は639になる。合計すれば1172だ。大谷は今季、トータルすると1000回以上もメジャーの打者や投手と対戦したわけだ。

対戦打者数+打席数=1000超は大谷のみ

 この数字の凄さを示すのは――今季、対戦打者数+打席数が1000を超えたのは、大谷だけであるという点である。これに次いでナショナル・リーグの2人の投手が900を超えている。

【次ページ】 もっとも打席に立った強打者と比べても……

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