「当時のNECの強さの秘密は、リードブロックシステムという未知の戦術を迷うことなく取り入れた勇気だと思う」と楊は言う。寺廻も語る。

「当時の私以外のVリーグの監督は、オリンピアンや著名な人ばかりでした。自分に自信がなかった私が彼らに勝てるとしたら、過去にしばられず、海外を研究し、工夫する。新しいものを取り入れるしかないと思いました」

　過去の栄光にあぐらをかかず、世界の戦術の移り変わりを察知して、常に新しい挑戦をする。こうしてNEC男子は常勝チームを築いていったのだ。

30年前の“勇気”が、現在の強化にしっかりと受け継がれている　©︎Ryosuke Menju/JMPA

　昨季までNECレッドロケッツ（女子）のGMを務めていた中村貴司は言った。

「少し前までは、女子チームのデータの活用の仕方、ブロックシステムの理解度は男子より低いという人もいました。でも今、Vリーグではリードブロックを取り入れている女子チームも増えています。男子的なブロックシステムを取り入れる努力をすれば、もっとレベルも上がるのではないかと思う。最近は男子チームの選手が、引退して指導者となり、女子チームの監督やコーチを務めるケースも増えていますよね。女子の長所と男子のいいところを交えればさらに女子バレーの発展につながるのではないかと私は思っています」

　2021-22 V.LEAGUEの開幕は10月15日（DIVISION1）。さまざまなチームのブロックシステムに注目して観戦するのも1つの楽しみ方ではないだろうか。