「この体格なので、体の使い方はいい方だと思います。馬原孝浩コーチの指導で、負荷トレーニングを始めました。1キロのダンベルを使って肩回りを鍛えています。インナーマッスルのトレーニングはこれまでやっていなかったのですが、1年くらい経ってしっくりくるようになりました。球速は昨年は148km/hでしたが、152km/hまで出るようになりました。

　大学のときは球数が多かったのですが、今年は効率的に長いイニングも投げられるようになりました。今年覚えたスプリットで“3球で仕留める”ことを目指しています。ネットで見たダルビッシュ有投手の、速くて落差のあるスプリームを参考に投げてみて、いい感じだったんです」

「プロに行けば、ガツガツいけるのでは」

　宮澤の印象も細川監督に聞いた。

「腕を振って“おりゃー”っと投げるような思い切りの良さがある。最初はインコースにミットを構えても逆球が来るような投手だったが、今は普通に内角に投げられるようになった。

　フィールディングでも松岡功祐コーチの内野手の練習に自分から志願して入ってゴロを受けている。この1年で“何が起こったか”と言うくらいに進化した。先発向きだと思う。プロに行けば、ガツガツいけるのではないか。ただ、まだ少し気持ちの弱さがあるので、はったりが効くようになったら面白い」

　宮澤は来たるドラフト会議に向けて、このように自身をアピールしていた。

「中日の谷元圭介投手や、ロッテの美馬学投手のように、球の切れで勝負したい。体がないので、人よりも出力を出す練習、一瞬で力を出すトレーニングをやってきて、その成果が出ていると思います。自分で言うのもおかしいですが、今年1年を通して強くなったなと実感しています」

千賀から3打席連続安打の廣沢新太郎

　九州アジアリーグのもう1つのチーム、大分B-リングスにも注目すべき選手がいる。

　外野手の廣沢新太郎だ。

廣澤のバッティングフォーム

　廣沢は6月29日、ソフトバンクのファーム球場で行われた交流戦で、東京五輪へ向けて調整中だった千賀滉大から、3打席連続で安打を打って話題となった。1本目は右中間フェンス直撃の二塁打、2本目は中前にライナーで達する安打、3本目はセーフティバント。持ち味を発揮した見事な安打だった。

「自分の中では打てたらラッキーという感じでした。1打席目は速球で速かったですが、“1、2の3”で合わせたらうまく打てました」

　2001年3月22日、大阪生まれの20歳。中学ではボーイズリーグのジュニアホークスでプレー。高校は福岡の福岡工大城東高校に進む。夏は初戦で負けて、大分の九州総合スポーツカレッジに進み、トライアウトを受けて大分B-リングスへと進んだ。

西川遥輝選手のような選手になりたい

「対戦相手のサラマンダーズは、投手のレベルが高くて最初は打てなかったですが、試行錯誤をしてなんとか、という感じですね。コーチにも打撃についてよくアドバイスされます。足が売りです。50mはしばらく計っていませんが6秒フラットくらい。外野の守備範囲の広さには自信があります。

　プロ野球では、日本ハムの西川遥輝選手みたいな選手になりたい。スカウトの方は見に来ておられましたが、評価はよくわかりません。今年指名がなくても、NPB目指して頑張りたいです」

　何かややってやりそうな表情が印象的だった。彼らのような存在がいる九州の野球界はこれから面白いことになりそうだ。　＜香川、高知編に続く＞