酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
《引退》斎藤佑樹は名指導者になるかもしれない 948球甲子園優勝→プロで挫折の記録に埋もれても…「早大OBのイベント」秘話
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byTakashi Shimizu/Nanae Suzuki/Toshiya Kondo
posted2021/10/01 20:00
甲子園優勝と早大での栄光と、プロでの挫折。斎藤佑樹の経験には、将来の野球人に生かせる価値がきっとある
母校・早大で子供達と楽しそうに野球を
斎藤の母校、早稲田大学は秋季リーグが終わると大学の安部磯雄記念球場で、子供たちに野球の楽しさを実感させるイベントを開催する。野球部OBである斎藤佑樹はこのイベントに何度も参加し、子供たちと一緒にボールを追いかけて、本当に楽しそうな表情を浮かべた。
しかしそんなイベントにも報道陣は集まり、斎藤に「囲み取材」を求めた。筆者はその囲みに入ったことはない。
「来年は何勝したいか」「肩の故障はどのくらい戻ったのか」「結婚は」
こういった質問に、一つ一つ答える斎藤の表情が痛々しかったからだ。それでも、早稲田大の関係者はこのように語っていた。
「佑樹はこのイベントの趣旨をよくわかって、参加してくれている。メディアが追い回すのを承知で来てくれるのはありがたい」
大変な現役生活だったが――勝者と敗者の両方を知る斎藤は、よい指導者になるかもしれない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。