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《35打席連続無安打》絶不調の佐藤輝明に、通算403本塁打・山崎武司が2つの助言 「屈辱でも…」「オヤジ(ノムさん)が生きていたら」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byKyodo News

posted2021/09/10 11:05

《35打席連続無安打》絶不調の佐藤輝明に、通算403本塁打・山崎武司が2つの助言 「屈辱でも…」「オヤジ(ノムさん)が生きていたら」<Number Web> photograph by Kyodo News

35打席連続無安打で、登録抹消の報道も出ている佐藤輝明。山崎武司氏にスランプ脱出法を聞いた

山崎がスタイルを貫けた“ノムさんの言葉”

 2度の本塁打王を獲得した山崎さんも三振が多かった。

 楽天で2007年に43本塁打、108打点で二冠王を手にした時も、142三振を喫している。それでも、三振を恐れずにスタイルを貫けたのは、監督だった野村克也さんの言葉だった。

「内野ゴロも外野フライも三振も同じアウト。怖がらずにバットを振ってこい」

 背中を押され、本塁打を積み上げた。山崎さんは当時を懐かしみ「フルスイングして三振すると相手投手は怖い。オヤジ(野村監督)が生きていたら、『何を三振を怖がっておる。もっと、いかんかい』と佐藤に言っていると思う」と語った。

 長いシーズンを戦う上で、どんな打者にも調子の上がらない時期はある。チームトップの23本塁打を放っているとはいえ、まだ佐藤はプロ1年目。山崎さんは、「色んなことを試してスランプの期間を短くする方法を見つければいい」と助言する。自身は現役時代、不調の時は特打以外にも足をしっかり使えるようにする目的でランニングや守備練習を取り入れた。

自身の3年目と「勝負の対象にならない」と絶賛するだけに

 山崎さんは佐藤のパワーを「ゴリラ級」と評する。そして、プロの高い壁となる変化球のキレや、伸びのある高めのストレートへの対応力にも驚嘆。自身のプロ1年目や一軍デビューしたプロ3年目と比較し「勝負の対象にならない」と笑う。

 入団当初は捕手をしていて守備の練習に追われていたこともあったが、2桁本塁打を達成するまでプロ入りから9年を要した。1年目で、すでに23本塁打を放っている佐藤に「今は大停滞していても、阪神の球団記録を塗り替えたのは事実。壁は乗り越えないといけないし、苦しい経験が活きて、数年後に日本球界を代表する打者になるのは間違いない」と太鼓判を押す。

 佐藤には、チームが優勝を争う局面で力になれない焦りやもどかしさがあるだろう。ただ、佐藤の存在がなければ、阪神はシーズン終盤に現在の位置にはいない。球団の新人記録更新や、勝利への貢献は色褪せない。「詰まること」、「三振すること」を恐れない。本塁打王の助言が復調の光となるかもしれない。

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