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プライベートも削ってセブンズに身を捧げたが…「東京」に立てなかった男女2人のレジェンドが告白「複雑な思いで見ていました」
posted2021/09/08 06:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Nobuhiko Otomo
メダルラッシュとなった東京五輪で、蚊帳の外だったのが7人制ラグビー(セブンズ)だった。
リオ大会で4位に食い込んだ男子は最後の11-12位決定戦で韓国に勝っただけの11位。女子はアジア予選を勝ち上がった中国にも大敗するなど5戦全敗で、リオの10位を下回る最下位12位。男女とも結果以上に無力感の漂う戦いぶりだった。
今回の五輪に日本は男女とも若返った布陣で臨んだ。6月19日に発表された代表メンバーには、長く日本のセブンズを支えてきた坂井克行、中村知春(ともに88年生まれの33歳)の名前が消えていた。男女のセブンズ日本代表で、ともに歴代最多キャップを持ち、主将として、リーダーとして、五輪直前までチームの牽引役を務めながら「東京」の舞台に立てなかった2人は、ジャパンの戦いをどう見ていたのだろうか。
練習相手として参加した合宿「心配していた」
坂井克行は、自身が落選した東京五輪の準備のため、対戦国を想定した練習試合の相手として、府中、北海道、そして直前の府中合宿まで参加していた。そこには同じく東京五輪代表から外れた小澤大や林大成、来年のワールドカップやパリ五輪を目指す若手や、新たに日本代表資格を得る外国出身選手が集まっていた。
「対戦しながら感じたことは、ジャパン(代表メンバー)は疲れているな、ということでした。こっちには20~25人くらいの選手が集まっていて、試合形式のときも選手をどんどん交替させて、フレッシュなメンバーで戦ったけど、ジャパンはバックアップやケガ人を入れても16人。出ずっぱりの選手もいたし、負荷は大変だったと思う。試合は、正式なスコアが残っているわけではないけれど、僕らが勝ち越してたと思います。
正直、そのときからちょっと心配していました。ジャパンのメンバーは試合形式以外にもハードなフィットネスをやっていて疲れていたし、ケガをしたくない、という気持ちも伝わってきました。でも、僕も経験があるのでその気持ちは分かります」
セブンズの登録メンバーは大会ごとに12人。だがワールドシリーズやワールドカップも含め、通常は13~14人で遠征して、その大会の登録メンバーが決まるのはたいてい初日の前日だ。
「遠征メンバーに入っていても、大会に出られるかどうかは分からない。現地入りしてからの練習でも競争があり、緊張感がある。でもオリンピックは大会の1カ月以上も前にメンバーが発表される。出られるということが決まってしまうと、どうしても守りに入ってしまう。ケガはしたくないし、練習でもタフなプレーを無意識に避けてしまう」