酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「智弁vs智弁の決勝」は和歌山が勝ったけど… 両校の対戦成績、岡本和真に西川遥輝らプロが多いのは?〈高嶋仁名誉監督の偉大さ〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/08/30 17:02
ユニフォームの酷似ぶりが話題となった智弁和歌山と智弁学園の決勝戦は、スコア以上に白熱した闘いだった
智弁和歌山は阪神ドラ1だった中谷監督も
<智弁和歌山>
中谷仁(1997年1・神楽巨)28安4本17点1盗 率.162
高塚信幸 (1997年7・近)/ 投手・内野手 一軍成績なし
喜多隆志 (2001年1・ロ)22安0本4点1盗 率.227
武内晋一 (2005年希・ヤ)256安22本110点4盗 率.222
宮崎充登 (2006年希・広)4勝11敗0S5H率5.64
橋本良平 (2006年高3・神)/ 捕手・内野手 一軍成績なし
※岡田俊哉 (2009年1・中)19勝20敗19S62H率3.40
※西川遥輝 (2010年2・日)1193安54本368点301盗 率.282
坂口真規 (2012年5・巨)4安0本1点0盗 率.308
※東妻勇輔 (2018年2・ロ)4勝2敗0S11H率3.73
※林晃汰(2018年3・広)60安6本25点0盗 率.284
※黒川史陽(2019年2・楽)16安1本10点0盗 率.180
※東妻純平(2019年4・De)/ 捕手 一軍成績なし
※細川凌平 (2020年4・日)/ 内野手 一軍成績なし
※小林樹斗 (2020年4・広)/ 投手 一軍成績なし
甲子園の実績では兄貴分の智弁学園をリードする智弁和歌山だが、プロ野球への人材輩出では、智弁学園にかなり遅れを取っていた。「智弁和歌山は、甲子園では強いがプロで活躍する選手は少ない」が、高校野球通の定説だったが、このところ状況が変わってきている。
2018年に東妻勇輔、林晃汰がドラフト指名されたのを皮切りに、昨年まで3年連続で2人ずつがドラフト指名された。そして広島で好打を連発して売り出した林晃汰、守備が買われて内野手として出場機会が増えている黒川史陽など、活躍が目立つ選手が増えてきているのだ。
2018年といえば、元阪神、楽天、巨人でプレーした中谷仁監督が就任した年。チームの育成方針が変わったのかもしれない。
現日本ハムの立田を打ち込んだ智弁・岡本
一方で智弁学園は勝負強い代打だった柳原隆弘、守備の名手、そして名コーチとして知られる高代延博、風貌から「ゴジラ目」と言われた長身の投手・山口哲治などを輩出してきたが、そうした先輩選手の実績を抜きつつあるのが、今や巨人の不動の4番、岡本和真だ。
筆者は2014年夏、大和広陵の立田将太(のち日本ハム)という投手を奈良県大会から追いかけていた。立田は「プロ、MLBに行くために過度な投げ込みをしない、試合でも球数制限をする」と公言、高校野球の伝統にあらがう選手として、アメリカからジャーナリストが取材に来るなど、注目されていた。
立田と智弁学園の岡本和真は2年生からライバルとして知られていたが、岡本は3年の奈良県大会の準決勝で立田を4打数2安打と打ち込んだ。