酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
牧秀悟は新人で初、“4年で最多3回”のローズ、大谷翔平はMLBで達成もイチローは… サイクル安打に不可欠な「ある要素」
posted2021/08/27 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News/Hideki Sugiyama
DeNAの牧秀悟が8月25日の阪神戦で、サイクルヒットを記録した。NPBでは70人目、75回目。いろいろと「ただし書き」がつく快挙だ。
牧は昨年のドラフト2位で入団したルーキー。ルーキーでのサイクルヒットは、公式戦では史上初である。
これまで、最もキャリアが浅い選手のサイクルヒットは、ロッテ弘田澄男(1973年7月11日/日本ハム戦)、阪急・松永浩美(1982年10月8日/南海戦)の実働2年目だった。
これとは別に来日1年目に達成した外国人選手は、ヤクルトのジャック・ハウエル(1992年7月29日/広島戦)、横浜ボイ・ロドリゲス(2002年7月27日/広島戦)、オリックスのホセ・オーティズ(2003年5月3日/西武戦)、広島ライネル・ロサリオ(2014年9月2日/巨人戦)と4人いる。
なおオールスターゲームでは2019年、阪神の近本光司がルーキーで記録している。
「最後が三塁打」だったのは22例目
牧の記録は「令和最初のサイクルヒット」でもある。2019年4月9日に阪神・梅野隆太郎が「平成最後のサイクルヒット」を記録してから2年4カ月ぶりだった。また「2020年代最初のサイクルヒット」でもあった。また中央大学出身では西武の岡村隆則(1985年5月22日/ロッテ戦)以来2人目となる。
サイクルヒットは、1試合に安打、二塁打、三塁打、本塁打を打つことだが、三塁打が最も難易度が高いとされる。今回の牧は、右越二塁打、右中間本塁打、中前打と打ち、4打席目は捕邪飛、9回に回ってきた第5打席で右に大飛球の三塁打を打ち、見事に達成。
最後の安打が三塁打だったケースは、75例中22例だ。
高校は全くの無名校だったが
牧秀悟は、長野県出身。中学時代から本格的に野球をはじめ、松本第一高校に進む。この学校は2009年と2012年に夏の長野大会で決勝まで進んだことがあるが、甲子園には出場したことがない。牧が1年生の2014年は準々決勝まで進むも、その後2年は初戦敗退。先輩でプロ入りしたのは2学年上の百瀬大騎が同じDeNAに進んだだけ。全くの無名校だった。
牧が台頭したのは2017年、中央大学に進んでからだ。